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ジョン・ディクスン・カー 『帽子収集狂事件』

帽子収集狂事件


“いかれ帽子屋”による連続帽子盗難事件が話題を呼ぶロンドン。ポオの未発表原稿を盗まれた古書収集家もまた、その被害に遭っていた。そんな折、ロンドン塔の逆賊門で彼の甥の死体が発見される。古書収集家の盗まれたシルクハットをかぶせられて…。比類なき舞台設定と驚天動地の大トリックで、全世界のミステリファンをうならせてきた、フェル博士シリーズを代表する傑作。   (BY BOOKデータベース 創元推理文庫)


本が好き!』からの献本です。以前からこのタイトルは創元から出ていましたが、今回晴れて新訳として出ることになったようです。田中西二郎訳の旧版は持っているのですが、昔のカー作品は訳がイマイチな印象がある。なので、持ってはいるんだけど新訳のほうを読むことにしました^^


カーと言えば怪奇趣味と不可能趣味がまず思い浮かぶが、本書にはオカルティズムもなければ密室殺人もないので少し個人的には残念だ。しかし、なんといってもカーである。江戸川乱歩が「黄金期ベストテン」の7位に本書を選んだのはそこに何かがあるからなのだ。

まずは題材が推理好きには垂涎もののガジェットが用いられている。それはあのエドガー・アラン・ポーの未発表原稿なのだ!しかもそれはいろんな意味でとんでもな(笑)「モルグ街の殺人」より以前の、デュパンものときてるからこれは堪らない。世界初の推理小説が更新されたということなのだから。その貴重な未発表原稿が何者かに盗まれ、それに呼応するかのように霧がかったロンドン塔で殺人まで起きていたのである。それをフェル博士とランポール、そしてスコットランド・ヤードのハドリー警部らが真相解明に乗り出すのだ。

しかもそのロンドン塔での殺人で見つかった死体には身に着けている服装にはそぐわないシルクハットがかぶされていて、それは未発表原稿が盗まれた古書収集家の盗まれたシルクハットでもあったのだからますます奇妙な事件になっている。だが、内容をいえるのはここまでだろう。フーダニットかハウダニットかホワイダニットかすら、他の内容は言えない。乱歩も「密室殺人以上のトリックがある」というようなことしか言ってないくらい、これ以上触れるともしかしたら勘のいい方にはネタバレになってしまう恐れがあるから^^;;

でもおどろおどろしい怪奇趣味はなくても、霧がかったロンドン塔や盗まれた原稿などどよんとした怪しい雰囲気は健在。フェル博士とハドリー警部のつつきあいもニヤニヤする場面が多々ある。というか、ハドリー警部がフェル博士を呼び出したのに、なんであんなにフェル博士の粗をつっつくんだろうか(笑)ランポールは嫁さんもらってなんか落ち着いてる感じだった。あまり印象に残らなかったかな、ランポールは。

推理の面でいうと真相は評判通りの驚きとは思わなかったが、もちろんカーの上手さはあった。少しミスリードが弱かったり突然気味の真相だったりもするのだが、伏線の張り方が実に大胆。登場人物になにげなく核心を突くセリフを言わせたときの、カーの意地悪い笑みが文字から出てきそうなくらいいつの間にかサラッと言っちゃってる(笑)後から読んでもほぼ気付かないような気がしたのだが、付箋読書をしていたおかげで、なんとその一文にも付箋が貼られているのを発見!後から読んでも気付かなさそうな伏線だったのに、付箋を辿っていったらチェックしていたという・・・・。気になってチェックしておいた少し過去の自分は褒めてあげたいが、読了後記憶から抜け落ちていた自分の記憶力を残念に思う・・・・(苦笑)

そして真相がわかった後のラストのフェル博士、ランポール、ハドリー警部の多数決は、納得できない人もいるだろうが個人的には納得。というか、人間こうであって欲しいと思う。せめて小説の中だけでも正直者が馬鹿を見るような世の中であってほしくはない。こういう人情味ともいうべきものを容認させるカーやクリスティーがやっぱり好きだ^^



3.8 なむなむ!



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.02 2011 【本:どんでん返し/名推理】 comment3 trackback0

アントニイ・バークリー 『第二の銃声』

第二の銃声


高名な探偵作家ヒルヤードの邸で、ゲストを招いて行われた推理劇。だが、被害者役を演じるスコット=デイヴィスは、二発の銃声ののち本物の死体となって発見された。事件発生時の状況から殺人の嫌疑を掛けられたピンカートンは、素人探偵シェリンガムに助けを求める。二転三転する論証の果てに明かされる驚愕の真相。探偵小説の可能性を追求し、時代を超えて高評価を得た傑作。  (BY 背表紙参照  創元推理文庫)


本が好き!〕の献本です。


『毒入りチョコレート事件』でもバークリーは推理小説の形はかくかくしかじかだけではないとチタウィック氏に述べさせていた。それはこうである。「与えられたある事実からは単一の推論しか許されないらしく、しかも必ずそれが正しい推論であることになってるのがしばしばです。」と。これはバークリーの時代だけでなく、今でもなお通用してしまうほど的を得た表現だと思う(もちろんそうでない作品も多々あるが)。しかし決してバークリーのこれは型にハマった推理小説のアンチテーゼではないのである。だからこそバークリーはすごいのだ。独創的な発想であり、それが作品の構成や推理の型隊として表れていて今でも他の推理小説作品と一線を帰す面白さを持ってるんだと、バークリー二作目にして思ってしまうほどなのだ。

本書もバークリーの推理の形が如実に表れていて舌を巻いてしまった。殺人の喜劇を仲間内で催して、近隣の作家に推理してもらうといういかにもな祖筋を追ってみると、なんだか平凡に思えてくるかもしれない。しかし、そこはバークリー。心理と人間性にアプローチを試みつつも、推理小説としての核はがっしりと備えているのだ。犯人がいるからにはあからさまな描写や心理的な動きを描くことはままならない。やはり「さりげなく」になってしまう。しかし、バークリーは大胆に人物をリアルに描こうと試みているし、探偵役であるシェリンガムをこの上ない手綱捌きで操っているのだ。こればっかりは最後まで読んだ者だけの特権だろうが、この犯人を知ったときに感じる伏線の配慮には並々ならぬものがあると言わざる終えない。なんとなーく犯人は○○だと察知できてしまし、実際それがそうなってしまうのである。が、バークリーがチタウィック氏に言わせた言葉を思い出していただきたい。そう、バークリーはここでもそれを遂行し、どんでん返しとは何かを教えてくれるようなラストへと到達させているのだからあっぱれ以外の何も言うことがない。

もちろんキャラやラストを読んだあとの木目細やかな伏線なんかも素晴らしいものがある。だが、バークリーが提示する探偵の役目は、何も推理の解決へと導くだけの存在だけに留まらないという大胆でユニークな思考をもって活躍させるそこにこそ面白さがある。探偵=答えではない。だからバークリーは素晴らしいんだ。


4.1 なむなむ!


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.16 2011 【本:どんでん返し/名推理】 comment6 trackback1

D・M・ディヴァイン 『五番目のコード』  訳 : 野中千恵子

五番目のコード


スコットランドの地方都市で、帰宅途中の女性教師が何者かに襲われ、殺されかけた。この件を発端に、街では連続して殺人が起こる。現場に残された棺のカードの意味とは?新聞記者ビールドは、警察から事件への関与を疑われながらも犯人を追う。街を震撼させる謎の絞殺魔の正体と恐るべき真意とは―読者を驚きの真相へと導く、英国本格の巧者ディヴァインの屈指の傑作が甦る。   (BY BOOKデータベース 創元推理文庫)


本が好き!』からの献本です。


「八人がわたしの手にかかって死ぬだろう。」という宣戦布告ともとれる印象的な告白文で始まり、サスペンスとして何かやってくれそうな幕開けに期待せずにはいられない出だしである。本書はミステリだが倒叙ものでもないので犯人はスグにはわからないが、なぜこんな告白が読めてしまうのか?というと、まだ見ぬ犯人が手記を書いているから。この手記が一定の割合で物語に挿入されていくのだが、犯人はこれが誰かに読まれる前提で書いているということに注目してほしい。もちろん、読まれるというのは捕まってからではなく、犯罪心理でよくあるような自己陶酔から、誰かに自分の成したことを知ってもらいたいが為に筆を進めているのだからすでに常軌を逸した人物だといわざる終えない。それがサスペンス味を助長してくれてもいる。また、本書はフーダニットなんだけど、この日記が少なからず読者をかき回すことは間違いないく作者の目論みはなかなかにくらしい。

先にフーダニットと書いたが、それと同時にミッシングリンクものでもある。被害者の傍にはいつも〔八つの取って(コード)がついた棺の絵のカード〕が添えられているのだが、これが何を意味するのか?そしてタイトルとどう関連付けられるのか?という読み方をしても面白いと思う。犯人を追うのはもちろん警察なのだけど、素人探偵でもなんでもないただの新聞記者である主人公も事件に少なからず巻き込まれて犯人を追うのだ。もちろんこの主人公を追って読むのも楽しいのだけど、僕としてはあまりお薦めできない(苦笑)なぜならこの主人公の人物造詣には共感する箇所や好感の持てる箇所があまりないのだ。すぐに頭に血が登ったかと思うと、へこんで酒びたりになったり自暴自棄になったりするのだ。もちろん誰にでもそういう側面はあるけど、感情の起伏が豊かというより激しすぎて30後半にもなって大人になりきれない主人公を好きになれなかった。

だがしっかり読んでいるとそれなりの成果はあるから心配する必要はない。登場人物はそれなりに限定されてるし、伏線もちゃんとある。決してアンフェアな作品ではないからフーダニットものとして犯人当てに興じることも可能なのだが、ミスディレクションもそれなりに巧みなので簡単には当てれないだろう。だけど僕はわかってしまいました、犯人(笑)しっかりと伏線を処理して当てたわけではないけど、あてずっぽうでもない。中盤まで読んだ状況証拠から「ははぁ~ん、ヤツだな?」と思ってた人物がそのまま当たったにすぎないが(^^;)、難解すぎず安易すぎずの犯人当てに興じることができて置いてけぼりを食わず満足だった^^

ただしイマイチ物足りなかった部分もあるにはあって、サスペンスとしての醍醐味が足りないと思ったし、英国本格特有の馥郁たる香なるものが欠落しているのが残念だ。フーダニットとしての面白味や愉しみは読んでて得られるのだが、明かされたときのカタルシスも微だし動機という点でも弱い。それに加えてラストの主人公とエレンの今後もしっくりこない(苦笑)今まであれだけ頑なだったのに急にそーなっちゃうかなぁ?・・・・・・と^^;


フーダニットとしては求めていた水準に届くものをもらったけど、ミステリと同じくらい比重を置いていた主人公の描写の部分、そしてサスペンス的な緊迫感は平凡だったという読後感。気高き英国本格としては佳作という水準に留まる作品だと思う。



3.4 なむなむ!


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.15 2011 【本:どんでん返し/名推理】 comment8 trackback1

松岡正剛 『多読術』

多読術



読書の楽しみを知れば、自然と本はたくさん読めます。著者の読書遍歴を振り返り、日頃の読書の方法を紹介。本書を読めば自分に適した読書スタイルがきっと見つかります。読書の達人による多読のコツを伝授。   (BY BOOKデータベース  ちくまプリマー新書)

毎夜チェックしている『千夜千冊』を手がける松岡正剛さんの著作です。タイトルにあるように読書に関する事柄が書かれているんですが、『千夜千冊』を読んでいる方にとってはこれほど手にとってみたいと思う読書指南本はないのではないでしょうか。あの松岡正剛の読書遍歴を毎夜一冊づつ惜しみなく読ませてくれ、尚且つあの深遠で知の巨人に相応しい編集力で読み手を納得させ魅力する蠱惑的な記事たち。その一端にでも触れられれば、自分の読書スタイルの何かに変化を齎せてくれるかも知れないと思わせてくれる本書のタイトルですが、その通り読書に対する何かが芽生えちゃいます。


僕のブログに毎日のように遊びに来てくれてる方なら気付いてくれてるかも知れませんが、最近僕は図書館の本を借りなくなりました。古本で買って温めている積読本か、稀に買う新刊しか読んでません。なので例年にも増して今年の新刊本の読書数が激減しているのはそのせいなのです(苦笑)

なぜ図書館に行かなくなったのか?というとこれが面倒だからでも返却期限を遵守できないからでもありませんよ(笑)実はその理由は本書の著者・松岡正剛さんの影響からなのです。この本を読む前から正剛さんの記事や動画などで〔本はノートと思え〕的なアドバイスを聞いてから、それを今年の中旬から実行し始めてるんですね。その本をノートにするということはすなわち「本にマーキングしたり、文字を書き込んだり」するということなのだから、これは図書館本ではどうしてもできない。やったとしても返却しなきゃいけないから読み返せないのですよね^^。

初めは本に付箋だけでなくマーキングすることには少し抵抗がありました^^。でも僕は買った本は売ったことがないし、マーキングを躊躇う理由がないことに気付いたのでもうはじめの一筆からはガンガン書き込みしております(笑)気になる文章や警句、人物名や書物の名などなど、気になれば自分なりのマーキング方法を確立している最中です。これがとても役に立っていて、ブログやらに記事を書くときにはどうしも気になる箇所を再読したりしますが、とても楽です(笑)本書の中にも書かれているように「本を二度読む」際にもこれは効果的で、著者のエッセンスと一度目にマーキングした箇所がちゃんと要点を把握しているかを客観的に感じることが出来たりします。この読書法は一度目には効果的で再読時には能率的に読書をすることができちゃうからこれだけでも僕にはプラクティカルに作用してくれてると思ってます^^

もちろんそれだけが書かれているのではありませんよ。本書には松岡正剛という何十年も読書を継続している知の巨人のエッセンスが深く深くに根付いてますから、それに全部書き記すということはまず不可能です。それだけ正剛読書術は濃いとも言えます。

なので僕が印象に残った箇所を少しだけ抜粋させてもらうと、まずは「目次を読み込む」ことです。これは僕自身まったく行っていませんでしたね(苦笑)買う前に目次をパラパラと見たりはしますが、この目次を重点的に読み込むんである程度内容を把握してしまうところがエクセレント!ですね。一度実行してみましたが、一章目から全く見当違いなものを目次から想像しちゃいました^^。でもこれをやることによって目次から本の内容がある程度把握できるようになるのだから、全く知らない本を手にとっても興味深いかどうかを判断できるようになれるかも知れませんし著者のモデルを見極めることができるようにもなれるでしょう。でも目次がおざなりな本には全く効かないかもしれませんが^^。

だらだらと長文かきすぎなので後は駆け足で要点だけ書いていくと、「本とはリスク、リスペクト、リコメンデーションの3Rである」とか、「複合読書法」や「リンクを増やすための編集的読書法」、本から本へという間テキスト性への言及。「音読から黙読へ」、「自分にあったスタンスで読む」とか「読書と向き合うのに構えてはいけない」などなど、この190Pの中にこれでもかと松岡読書思考が詰まってます。披露されている著者の読書遍歴にも目を見張るものがありますし、松岡さんがマーキングした本の写真なんかも載ってたりするのでとてつもなく読書の参考になる著作でした。やっぱり知の巨人は松岡正剛だ!


読んだ本は数あれど、それから得た知識や情報、果ては内容までもが雲散霧消してしまっているという僕も含めた読書好きさんは、ぜひとも読んで自分のスタンスに変化を齎せたほうがいいのかも知れません。最近は乱読よりも一冊を読み込む読み方が俄然楽しくなってきております。正剛さんのおかげです(笑)


4.3 なむなむ!


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.29 2010 【本:どんでん返し/名推理】 comment6 trackback1
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