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伊坂幸太郎 『アイネクライネナハトムジーク』



伊坂作品には人の暗部を曝け出してくるものも多いけれど『アイネクライネナハトムジーク』にはそれが無い為、読んでいる最中も閉じた後も目に見えない温もりに包まれました。最近暖かくなってきたと感じるのは読了後の温もりなのかも知れません。最近は温暖化温暖化言われなくなってきているので問題無いのでしょうね。

幾つかの章にそれぞれ別の人間が視点になり入れ替わってゆきます。珍しくファンダジックな要素もなく、それが苦手で敬遠気味な方もこれなら読めるハズです。オーディナリーピーポーの平凡な日常が描かれ、大きな事件は起きないけらど彼らにとっては人生のポイントとなるものもしばしば。それらを飽きずに読ませる文章力は「やるな」といつものように思わせてくれます。ありがとう。

章ごとに視点が変わると書きましたが登場人物は意外と多く、至る所で人生が交差・リンクしているのでしっかりと付いていければ微笑ましい場面に幾つも出会えます。

時系列も駆使して話を盛り上げるのが上手な作家さんですがアイネ〜でも駆使しておりいささかややこしいプロットにもなっているので、サボタージュは厳禁です。ちゃんと向き合えばきっちり報酬があるので安心してください。

印象的で好ましく思えたシーンや台詞がいくつかあったので掻い摘んで紹介すると、悪そうな奴にイチャモンを付けられてる人をみたら作中のこの台詞をイチャモン人に放ってやりましょう。「この人がどなたの娘さんかご存知なですか?」と。イチャモン人は勝手に想像を巡らししぼんでゆくことでしょう。

ヘビー級ボクサーがダウンして気持ちが切れそうになったときにラウンドボーイ(!)が投げ掛ける「大丈夫」。あぁ、繋がってたんだなと応援に熱が入ります。浮気=皆殺しも膝を打ちます。通帳記帳で気持ちを伝える方法もほんわかしましたが、これなら現実世界でも使えるな、と自分のレパートリーに拝借してしまえと考えております。サプラ〜イズ。

他にも免許更新エピソードも織田一真のキャラも散りばめられた格言なるものもタイトルも装丁も、良い点を挙げるとほいほい出てきます。驚愕するような本格要素は入ってないけれど、爽やかほっこり暖色系の伊坂作品の方が自分には合ってるな、と感じたモーツァルトでした(因みに(アカデミー室内アンサンブル)の「EINE KLEINE NACHTMUSIK」を聴きながら読むことが多かったです)。





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.28 2016 【本:伊坂幸太郎】 comment0 trackback0

伊坂幸太郎 『あるキング』

あるキング


弱小地方球団・仙醍キングスの熱烈なファンである両親のもとに生まれた山田王求。“王が求め、王に求められる”ようにと名づけられた一人の少年は、仙醍キングスに入団してチームを優勝に導く運命を背負い、野球選手になるべく育てられる。期待以上に王求の才能が飛び抜けていると知った両親は、さらに異常ともいえる情熱を彼にそそぐ。すべては「王」になるために―。人気作家の新たなるファンタジーワールド。  (BY BOOKデータベース  徳間書店 刊)


伊坂幸太郎の積読消化本、『あるキング』です。この作品辺りから新境地とか作風が変わったというのが一般的だが、僕の場合は『ゴールデン・スランバー』からそういう兆候があると思って多くの方が大絶賛の中、大絶賛できずに一人でもやもやしてました(笑)そういうこともあって本書にはなかなか食指が伸びず読まなかったんですが、『オー!ファーザー!』を読んで、また少し意識が変わったので読んでみることにしました。

今回の話は野球が題材で野球の王になるべく運命付けられた王求という少年の物語なのですが、語るほどの物語の筋はありません。寓話的な物語でリアリティはなくファンタジーチックな側面も強かった。『重力ピエロ』のカカシとか伊坂作品にはそういうファンタジーチックな傾向が常に内包されてるけど、これはガジェットや登場人物だけがファンタジックなのではなく、ストーリー自体が寓話的で、伊坂版の童話みたいな印象も受けます。

それが悪いというわけではないのですが、この寓話性の為か〔さりげない名セリフ〕や〔快哉を叫んでしまう伏線の収束〕などは鳴りを潜めてしまっているのでそこが残念です^^。『オー!ファーザー!』ではその復活を垣間見たので読後感も良好でしたが、本書の内容からすると伊坂作品としてはやっぱ困惑してしまいました(苦笑)

また小学生の頃野球チームにはいっていたので(島本ヤンキースにwww)、少しは野球のあれこれはわかるんですが、こんな飛びぬけた主人公という存在は違和感がある。ファンタジックだからしょうがないといえばしょうがないけど、別にこれだとサッカーでもラグビーでもなんでもいい。野球にした意味が見出せないです。まぁたぶん伊坂さんが書きたかったから書いたんだろうけど、独りよがり感が前面に出てて、受け入れがたい作品となってしまってます。


既読の伊坂作品の中ではもしかしたらワースト・・・・になってしまいそうな作品でした^^;作者に求めるものが違ったり盲目的な伊坂ファンなら気に入るのかも知れませんが、どうやら僕には以前の伊坂さんがいいようです。進化ととるか、単なる変化ととるか、それは読者の胸一つなのかも知れませんね^^



3.0 なむなむ!


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.21 2010 【本:伊坂幸太郎】 comment2 trackback1

伊坂幸太郎 『ゴールデンスランバー』

ゴールデンスランバー


仙台での凱旋パレード中、突如爆発が起こり、新首相が死亡した。同じ頃、元宅配ドライバーの青柳は、旧友に「大きな謀略に巻き込まれているから逃げろ」と促される。折しも現れた警官は、あっさりと拳銃を発砲した。どうやら、首相暗殺犯の濡れ衣を着せられているようだ。この巨大な陰謀から、果たして逃げ切ることはできるのか?冴えわたる伏線、印象深い会話、時間を操る構成力……すべての要素が最強の、伊坂小説の集大成!!   BY 新潮社WEB


この作品は多くで「たいへんよくできました」という評価を貰ってるし、予約もなかなか回ってこないし、期待して読みました。本書は「伊坂幸太郎的に娯楽小説に徹したらどうなるか」というコンセプトの元に書かれたモノらしいが、エンタメ小説としてはとても素晴らしい完成度だと思いますね~^^読みやすいし、いっぱい詰まってるし^^でも、伊坂作品の集大成であるけれど、白眉だ!っていうのには頷くことはできませんが。(↑すっごい反感買いそうだけど^^;)

誰もが知っていると思われるケネディ大統領暗殺事件での一説がこの物語のベースとなっており、なかなか壮大な題材となっています。主に描かれるのは首相暗殺の犯人に仕立て上げられた青柳という三十路ボンバエあたりの人物で、その逃亡の2日間が描かれています。そこにいろいろな味のある登場人物からの視点で描かれたり、回想があったり過去にいったり現在に戻ったりと伊坂さんらしい手法で構成されており、やはり読み応えがあるってもんだった。途中にある伏線もやはりちゃんと最後にはチョイチョイっと回収されていき、ラストにはちょっとホロリとなる。そして何よりいつものごとく作中の人物に語らせる言葉たち。なぜもこんなにこっちの心にまで刺さるんだろうってくらい素敵なセリフがあって、これを目にすると「あぁ、伊坂さんの作品なんだな」って思うくらい!伊坂さん=グッドなセリフなのだ。

でも、今回ミステリーとしては全然騙されなかったなぁ^^;なんか伏線はいっぱい張られてたのに、あぁここらへんで使うやろなぁーとかそろそろ来るゾ!ってだいたいわかってしまった。というか、わざとわかりやすく書いたのかも知れないけども。なんか伏線に繋がる答えが見えやすいはりかたしてはったなぁって思います。だからエンタメなのか?といぶかしんでしまうくらいでしたが、サラッと読めたのでこれでいいのかも知れない。。。いろんな要素がいっぱい詰まってるんだけども、傑出した何かが見えない。出る杭は打たれるからどの杭も出さないで全部標準以上で止めときました!みたいなスマートにまとめすぎたような。作中でいう「小さくまとまるなよ」ってのが、なんかしっくりくる作品でしたね。上手い!とは思ったのに、なんかパンチがなかったんだよなぁー。。まとまり具合はピカイチで面白かったけど^^一つだけ言いたいことは、お茶碗のご飯粒はやっぱ残さずにたいらげた方がいいと思うよ!?ってコトです。

でも、わしはやっぱり伊坂さんの著作でならGolden slumbersよりもBlowing in the Windを口ずさんじゃうなぁー^^


3.4 なむなむ!


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.21 2010 【本:伊坂幸太郎】 comment0 trackback0

伊坂幸太郎 『オーデュボンの祈り』

オーデュボンの祈り


コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?あの伊坂幸太郎、初文庫。伝説のデビュー作、見参!  (BY BOOKデータベース  新潮社 刊)


第5回 新潮ミステリー倶楽部賞を受賞した伊坂さんのデビュー作品。デビュー作では賞を取れたのに、ここから伊坂さんの無冠の時代が続いていっちゃうんですよね^^;まぁ、それはよしとして、この作品と最新作の『ゴールデンスランバー』とを比べるとものすごく力量の差を感じれると思います。伊坂さんが本を書くごとにレベルアップしていってるのが本書を読んでわかりました!そういった意味でも、伊坂さんの出発点である本書は読む価値のあるものだと思います^^

つまらない犯罪で逮捕され、あろうことか脱走した主人公がたどり着いた不思議な島(荻島)には、言葉を話し未来を予言するという不思議なカカシが立っていた。そのカカシがある日突然殺され、なぜ未来が見えるカカシなのに自分が殺される未来を予言できなかったのか?というちょっとファンタジーチックな作品です。もちろん、本書は「未来の見えるカカシ」がキーマンというか、物語の重要な軸になっていて、それに沿って話が進みます。

唐突ですが、ここで森見登美彦さんの『四畳半神話大系』を読んだ方はあの話の重要なモノと本書との共通点を見出せると思います。本書も四畳半~も同様に、カオス理論が重要なファクターとなっているのです。初期の条件によって以後の運動が一意に定まる系においても、初期条件のわずかな差が長時間後に大きな違いが生じ、実際上結果が予測できない現象のことをカオス理論というのですが、それが物語の核となっているのです。そして、本書のカカシ(優午)がそのいろんな未来の分岐点を見ることができるという設定なので、その未来を見据えれる案山子がなぜ自分の死を見抜けなかったのか?というミステリーとなっており、プロットは素晴らしく読ませるものになってるなぁと思いましたねっ^^やはりこの最初の時点から伊坂的発想は健在で、その後の片鱗を伺わせてくれてます。

キャラも何人か出てきたのですが、まだ伊坂さんらしい言い回しや言葉のチョイス、誰もが味のある登場人物とはなっていなかったです^^;その最たる例が主人公でなにか普通すぎて、感情移入などはしやすかったのですが、あまり好きなキャラとはなりませんでした。でも、桜とかは無口でツンデレ具合もありなかなかいい味出してました。城山はもう大ッ嫌いというか、憎悪の対象でしかなかったです!

伊坂さんデビュー作ということで、やはり文章にもキャラや構成にも粗さはたるのですが、ここが伊坂さんの原点であり、それ以降の作品群への布石だと考えると、伊坂読者さんにとってはやはり重要ではないかと思います。でも、伊坂さん未読の方が初めて読む作品だとしても、また満足する部分も大いにあるデビュー作といえどあなどりがたし!な作品だと思いますよ^^



3.6 なむなむ!

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.21 2010 【本:伊坂幸太郎】 comment0 trackback0

伊坂幸太郎 『オー!ファーザー』

                    オー!ファーザー

みんな、俺の話を聞いたら尊敬したくなるよ。我が家は、六人家族で大変なんだ。そんなのは珍しくない?いや、そうじゃないんだ、母一人、子一人なのはいいとして、父親が四人もいるんだよ。しかも、みんなどこか変わっていて。俺は普通の高校生で、ごく普通に生活していたいだけなのに。そして、今回、変な事件に巻き込まれて―。 (BY BOKデータベース 2010.03.25 新潮社刊)


『ゴールデンスランバー』『モダンタイムス』でめっきりご無沙汰になってしまった伊坂さんの最新作ですー。これは出版時期は違えど書かれたのが『ゴールデンスランバー』以前ということで、アヒルとかオーデュポン辺りの以前の伊坂さんが好きな僕にとってはやっと好きな伊坂さんが読めるぞ!と久しぶりに思った作品です^^

まず〔四人の父親が主人公にいる〕という設定が伊坂さんらしくなかなかとんでるではないですか。母親がいないとか同性愛の夫婦の養子だとかじゃなく、母親もちゃんと一人いるにも関わらず父親が四人ですからね。覗いてみたい家族構成で興味深々です。そしてその子供である主人公が政治がらみのごたごたに知らず知らずに巻き込まれてゆく感じのこれまた政治・社会性の強い作品となってました。

正直また政治色の強い作品かぁ~と思ってしまいました^^;全然政治に興味がないというわけではないんですよ、これでも社会人ですし(笑)でもね、国内の政治ものってどうもリアリティに欠けて絵空事感がびしびし伝わっちゃうんですよね。小説に必ずしもリアリティは必要なんて思わないんだけど、身近な風景や人物像が描かれているだけにリアリティに欠けるとどうもちぐはぐな感覚に襲われてしまうのですよね^^。「焼きそばの中にイチゴが入ってる!」という感覚^^;とおでる設定は魅力的なのですが、スナイパーとかでてくると〔日本の中の米国〕にみえちゃってしかたがないです^^;でもこんなこと思うのは少数派かもしれませんね(苦笑)

そういう日常生活の中の非日常的すぎる存在を除けば、これは初期作品同様に大好きな伊坂作品でした。今まで以上の強烈な個性をもったキャラがいるわけではないですが、四人の父親も多恵子も鱒二も殿様もなかなかキャラ立ちがよろしいです。四人でひがみ合うのではなく、「俺が父親でなくて誰が父親だ?」的な愛情で競い合う姿はやはり伊坂さん独特の思考の賜物でしょう。また、ミステリとしての面でもさすがだなっと思わずにはいられませんよ。伏線の職人は道尾秀介と伊坂幸太郎だなぁーと思ってしまいます^^ミステリー部、キャラ同士の対話での印象的な言葉群などは伊坂さんらしく優れたものでした。

でもやっぱ初期作品にあった行間にあるほの暗さという作品全体をとおしての哀愁漂う何かはもう消滅してしまったのですね。『ゴールデンスランバー』以前の作品であれど、本書の時点ですでに伊坂さんしか持てない明かりの中に佇む影はなくなったようで残念です^^。自身も作風が変化してるようなことをあとがきでも述べられてますし、もうこの好意をもてる影なるものは戻ってこないと思うと少し寂しくもあります。ですが、エンタメ特化して皆に受け入れられる雰囲気でいくのもこれまた一興だと思います^^



3.6 なむなむ!
.25 2010 【本:伊坂幸太郎】 comment2 trackback0
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