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湊かなえ 『夜行観覧車』

夜行観覧車


父親が被害者で母親が加害者―。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と、向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。    (2010.6.6  双葉社)


湊かなえの作品は『贖罪』だけ既読で『告白』も読もうとは思ってたんですが、なんだかイマイチ食指が動きません(苦笑)あまりにも騒がれすぎた作品だと読みたくなくなっちゃうですよね、あまのじゃくな性格なので^^^。機を逃してしまったというのもありますが。。。でも黄色いお店で105ゲッツしたので本書は読んでみようかな~と(笑)

『贖罪』で感じた印象やお仲間さんなどから聞き知った湊作品の共通点などを考慮すると、本書もまた湊さんらしい作品だと言えるかもしれない。『贖罪』でも登場人物のほとんどが「どこかねじれた」人であり、以前に比べると水で薄められたような印象があるとはいえどの人物もどこかソフトにゆがんでいる。だが、これくらいのゆがみ、あるいは「人に知られたくない」自己の部分というのは誰でも持ってるはずで、そういう意味では黒々しい小説だとは思わない。しかも、探せば身近にいるであろう登場人物たちの苦悩を見るとかなり現実的なリアリティを発揮した作品だとも思う。

それぞれ登場人物が持つ悩みはそれぞれの立場に応じて様々だったが、ある主婦は「無理して高級住宅街に家を建て」それが幸せを運ぶと信じこみ実現させる。だがいつしか娘は癇癪もちになり夫は頼りなくこの主婦は「無事に一日を過ごせたら」と思うようになってしまっている。この人物で重要な箇所は日本において持ち家を持つというのは価格においても人生の一大事となってしまっているところ。もしかしたら「生涯暮らせる家を持つ」というのが目標になってるくらいだ。別にこれが悪いわけはないが、どうも画一的な目標だし、個人的には人生の通過点の一つにすぎないイベントになって欲しいのだが、手に入れるコストを考えるとどうしても最大の目標になっちゃうのだろう。ゆえに持ち家=幸せと図式化されるのだろうが、やっぱお金で幸せは買えないのである(苦笑)自分の思い描いていた理想がずれすぎて、この登場人物はとんでもないことをしでかしてしまう。

また「癇癪持ち」であったり「子供の進路の為」というようないかにも現代的な問題を持った登場人物がおり、それら個々の悩みや問題をすべてひっくるめて対照的な二つの家族が【家族小説】として描写されてゆく。両者も家族としての綻びを内に秘め日々を過ごすがやっぱり放っておいた綻びはいっきに傷がひらいて取り返しのつかない展開へと発展する。それをどう紡いでゆくのか?どう再生してゆくのか?も描かれていて、序盤の黒さに白を配色したような、少し明るい希望のあるラストへと向かい読後感もそこまで悪くない。

また、この作家さんは一目でわかるような独特の表現方法なんかはないが筆力はある。それぞれの人物が抱える心理描写が特に上手いと思うが、それ以外の部分でも不思議と読ませる力があるのだ。伊坂幸太郎は独特の筆致を持っているが、東野圭吾の筆致はそんなに特徴的ではない。湊かなえも巧者のようなタイプのリーダビリティの持主でありそういう意味ではもっと期待してもいいのかも。しかし、題材や先に書いた題材や展開においてはまだ物足りない部分が残るし、黒さに進むでもなく感動のラストで魅せるでもなく、物語でもミステリ的展開でも平凡な本作ではまだまだ物足りないというのも事実だ。できれば何かを極めるような、どす黒い人間の心理を抉り出して文章や行間にまで黒々しさが滲み出るような、そんな特徴的なものが欲しいとも思う。今のままでも一般受けはするだろうが、このまま一般路線を進むか何かを極めるように進むか、そういう面では楽しみでもうちょっと見ていたい作家さんではあるなと今回思うのであった。



3.5 なむなむ!



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.06 2011 【本:エンターテイメント】 comment4 trackback0

三津田信三 『十三の呪  死相学探偵1』

十三の呪


幼少の頃から、人間に取り憑いた不吉な死の影が視える弦矢俊一郎。その能力を“売り”にして東京の神保町に構えた探偵事務所に、最初の依頼人がやってきた。アイドル顔負けの容姿をもつ紗綾香。IT系の青年社長に見初められるも、式の直前に婚約者が急死。彼の実家では、次々と怪異現象も起きているという。神妙な面持ちで語る彼女の露出した肌に、俊一郎は不気味な何かが蠢くのを視ていた。死相学探偵シリーズ第1弾。   (2008.6.25  角川ホラー文庫)


今出版されてる三津田さんの著作の数に対して、自分の読了数はまだ半分にも満たないのですが(^^;)、この作家さんの作品構成は大好物です。本書は死相学探偵シリーズの1ですが、以前読んだ『赫眼』にこのシリーズの短編が入ってたので一応お初ではありません^^。

本書の主人公・弦矢俊一郎は探偵事務所を構える青年であり、〔死相学探偵〕という肩書きにあるように「他人に表れた死相が見える」という特殊な能力を持っている。なので、いかにもこの作家らしい〔怪奇とミステリ〕の融合が望めそうな取り合わせだと楽しみが増す。そして、本書でシリーズ1とうことは事務所開き第一号の顧客の事件を解決することになるのだが、この依頼人が持ち込んできた依頼がやっぱり三津田信三らしく、弦矢が視た〔死相〕と怪奇現象とのミッシングリンクを探すといもので頼もしいプロットだと思う(笑)

読み始めてこのミッシングリンクこそ楽しみだったが少し既読作と比べると怪奇調な雰囲気も薄いし、怪奇な現象も小手先であまり読み栄えがしないなぁと思っていた。が、、、残念ながら終始この評価が覆ることはなかった(苦笑)この作家は好きなので残念さも一塩だが、〔三津田信三シリーズ〕も怪奇調はあれどラヴクラフトやら正史やら、歴代の濃厚な霧がかった怪奇に比べるとまだ弱い感じだった。本書はその気になってた点がますます露呈しちゃってた上に、真相もなんだかイマイチ説得力にも驚きも欠けてしまっている(まぁ結末のもやもや感は三津田信三シリーズもそうなのだが)。また、主人公の感情の希薄さも好きになれないし、作品全体の軽さが会話のパサパサした乾いた感じなどで助長されてたのは明らかだ。三津田さんをかっていただけに(勝手にだが)残念な評価とせざる終えないのがなんだか悔しい(苦笑)だが、ミッシングリンクだけは作品の雰囲気や結末と切り離して俯瞰してみると、さすが細かく配慮していることがうかがい知れる。まぁ小手先なのは否めないが、しっかりと糸を手繰り寄せれば、それぞれ引っ張った糸というしかけんの先には答えがくっ付けられている。でもこれも作品全体の軽さにかき消されてしまってあまり特筆する箇所でもない。三津田信三らしさはあるけど、限りなく薄められた、さしずめ水で薄められた赤ワインのような味ではないだろうか。

だけど、それでもこの作家さんの好ましいところは、作品の有無にも関わらず「ホラー小説やホラー映画を愛してる」のがガンガン響いてくるとこだ。確か『忌館』にもあったがホラー関係の作品を作品の隙間に滑り込ませてくるところがお茶目だ(笑)まったく書く必要がないのに(←ここがミソw)ヘッセリウス博士や幽霊狩人カーナッキ、ヴァン・ヘルシング教授やアーミティッジ館長やサイレンス博士などを出して、主人公に「今日はアーミティッジ館長でいこう」なんて言わせたりするのが三津田信三流の笑いの要素なのだ(笑)もちろんホラー映画の羅列もあるし、猫小説を羅列する箇所もあるのだが、本当のミステリ好きしか知らないような隠れた名作『猫たちの聖夜』まで名前があるのだ。こんなにくい演出よくするなぁ^^シニアック辺りのミステリも登場させててこういう三津田信三なりのユーモアがあって少し救われた。

大元の黒幕かなにかはわからないが、このシリーズは裏で何かが糸をひいているようで、本書の本当の裏側はあからさまに隠されたまま終わった。もしかしたら、この裏の真相が実はこのシリーズ通しての騙し絵として存在してくれてたら・・・・この作品の出来も許せちゃうので、シリーズ2も読んじゃおうと思います(←好きな作家さんのはなんやかんや理由をつけて読む気ww)。




3.2 なむなむ!



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.17 2011 【本:エンターテイメント】 comment6 trackback1

東野圭吾 『カッコウの卵は誰のもの』

カッコウの卵は誰のもの


親子の愛情に、揺さぶりがかけられる。覚悟を決めた父親は、試練にどう立ち向かうのか。父と娘、親子二代続けてのトップスキーヤー。娘の所属チームの研究者は、二人の遺伝子パターンを調べさせてほしいと考える。しかし、了承するわけにはいかない。父には、どうしても知られたくない秘密があった。娘が生まれた19年前からの忌まわしい秘密が。    (2010.1.25  光文社)


さらっと何か小説を読みたいときにうってつけの東野作品。今回もスラスラと読みやすくすぐ読了してしまったのだが、読み進めてるときも読み終わったときもなんだか軽い。プロットも人物造詣も動機も、目に付いたところ全部そう感じてしまう。なんだか「定期的に作品を出すために書いてます」というような厚みのない作品となってしまっている(苦笑)

タイトルからもうなんとなく話は見えてきちゃうのだが、その通りで取○え○の話にひとひねり加えただけで、結末すら驚けないような筋が見え見えな小説となっちゃってる。スキーという題材のため、スポーツ医学の研究で〔遺伝子〕を扱っていて、科学には少なからず興味がある自分は、生物学的見地から少し期待もしていたのだが、、、、やっぱり薄っぺらい扱いしかしてなかった(苦笑)せっかく面白そうなガジェットなのにもっと活かせなかったのだろうかと首を傾げてしまう。他にも腑に落ちない点がたくさんあって、取り上げるとキリがなくなるかも知れないので辞めておこうと思う。

が、東野圭吾のすごいところはもちろんあるのだ。これは楽しめた楽しめなかった抜きで、東野作品の共通項だと思うのだけど、どの作品も一様にリーダビリティが凄いのだ。もちろん作品によってリーダビリティの優劣はあるが、小説を読ませる基本とも言うべき「こっからどうなるんだろ?」はいつでも内包されてる。この作品は個人的に楽しめなかったし、人物、伏線、ガジェット、結末、トリックなどなどどれも満足できないにも関わらず、全体的に見ると夢中になって読んでいるから不思議だ。なぜなのかははっきりとわからないのだが、たぶん「小説の書き方」が上手いのだ。題材とかそういうものを切り離して、書き方が読者を惹きつけてやまない気がする。それが東野圭吾の最大の武器であり技巧なのだ。たぶんとんでもない題材であっても、この人の作品は売れるんだろうなぁと思ってしまう。そこだけは今も昔も変わらず凄い。だからプロフェッショナルなんだろう東野さんは。




3.0 なむなむ!



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.09 2011 【本:エンターテイメント】 comment2 trackback0

島田荘司 『写楽 閉じた国の幻』

写楽


わずか十ヶ月間の活躍、突然の消息不明。写楽を知る同時代の絵師、板元の不可解な沈黙。錯綜する諸説、乱立する矛盾。歴史の点と線をつなぎ浮上する謎の言葉「命須照」、見過ごされてきた「日記」、辿りついた古びた墓石。史実と虚構のモザイクが完成する時、美術史上最大の迷宮事件の「真犯人」が姿を現す。   (BY BOOKデータベース   2010.6.20 新潮社 )


謎というものは人を惹きつけてやまない蠱惑的な存在だ。邪馬台国の謎や大きく捉えるとミステリも謎あっての存在である。本書の写楽もまた長年国内に留まらず研究者たちを悩ませてきた謎なのである。10ヶ月あまりで普通の絵師では考えられないほどの作品を世に出し、突然ふつっと姿を消してしまう。その為別人説や大物説など多くの憶測を呼んでいるのだが、どれも確証がなく登場する経緯も姿を消した後の消息も今では謎となってしまっている。写楽という人物自体が謎そのものということだが、これは格好のミステリの題材ではないだろうか。それをあの島荘が20年という歳月をかけて構想し探求しミステリ小説として誕生させたのだから、一介の読者といえど興味を持てないわけがなかった(笑)

タイトルが『写楽』といっても時代ものではなく、語られるのは現代が舞台だ(中盤過去と現代を入り混ぜて語られる箇所もある)。何もかも上手くゆかない上にエレベーター事故で息子を失い、落ちに落ちてしまった主人公。この人物が実は写楽の研究家で過去に一冊本も著していて、人生のどん底を味わいつつも偶然見つけた絵を通じて写楽という謎の真相解明へと進んでゆく。これが600P強という大作にて描かれていて、島荘の中でもかなりの力作だと思う。ストーリーの構成やきっちり論理立てた上でのどんでん返しは賞賛を送らずには入られないだろう。

何が一番面白いのかというと、やはり「写楽」は一体全体誰だったのか?という謎に対する、作者の奇抜なアンサーにある。恥ずかしながら「写楽」についての本を多く読んでいるわけではないので、この写楽の真相が奇抜だと声たからかには言えない。が、これが思いもよらない着眼点から導かれたのだと確信することは、本書の記述や島荘自身によるあとがきによって理解できる。思えばエレベーター問題の箇所からして日本というか日本人を批判的に描いていたが、テーマも一応一貫してるとも言えるのではないだろうか(笑)歳月をかけた集めた資料と熟考したであろう個性的な論証。ミステリとしてかなりの力作で、このミス2位も異論なく納得でき、歴史ミステリとして投じた一石はかなり大きいのではないだろうか。さすが島荘^^

だが、語るべきものが多すぎて整理できなかったのか、ここまで大作になってしまうようなストーリーでもなかったような気はする。加えて女教授は一体何者だったのか?とか主人公はこの後どうなるのかなどなど、未解決問題も多くの残したまま終わってしまった感は拭えない。まぁこの部分はあとがきで自身も指摘されていて、この続編の題材も構想ももうネタはあっていつか書くというような事まで言及されていたので、ここは次回のお楽しみにとっておこうと思う。また現代と江戸が交互に語られる箇所もあるのだが、ここが綺麗にリンクして語られていなくて、別段こういう語り方する必要もなかったのではと思ってしまったが、、、、。


思えば西洋絵画にはそれなりに著作も読んだり作品も観て触れていたが、「浮世絵」に関しては西洋絵画に反比例するように接してきてない自分がいたことに読んでいて気づきました。本書のエッセンスの一つである「日本人は日本のあれこれを軽視しすぎだ」というようなものが、グサッともろに刺さってきました(苦笑)そんな僕でも本書を読んでしまうと、浮世絵や絵師、歌舞伎などにも興味を持ってしまうほどそちらの方面の魅力も詰まっている。北斎や歌麿や一九。名前は知っていれど深くは知らない絵師たちだが、日本にも素晴らしい絵描きがいて、近すぎて見えなくなってしまっては勿体無いなと思っちゃう。浮世絵にも興味が持てたので今後こっち関係の本も読んでゆきたい。



4.2 なむなむ!



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.22 2011 【本:エンターテイメント】 comment8 trackback0
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