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伊坂幸太郎 『オー!ファーザー』

                    オー!ファーザー

みんな、俺の話を聞いたら尊敬したくなるよ。我が家は、六人家族で大変なんだ。そんなのは珍しくない?いや、そうじゃないんだ、母一人、子一人なのはいいとして、父親が四人もいるんだよ。しかも、みんなどこか変わっていて。俺は普通の高校生で、ごく普通に生活していたいだけなのに。そして、今回、変な事件に巻き込まれて―。 (BY BOKデータベース 2010.03.25 新潮社刊)


『ゴールデンスランバー』『モダンタイムス』でめっきりご無沙汰になってしまった伊坂さんの最新作ですー。これは出版時期は違えど書かれたのが『ゴールデンスランバー』以前ということで、アヒルとかオーデュポン辺りの以前の伊坂さんが好きな僕にとってはやっと好きな伊坂さんが読めるぞ!と久しぶりに思った作品です^^

まず〔四人の父親が主人公にいる〕という設定が伊坂さんらしくなかなかとんでるではないですか。母親がいないとか同性愛の夫婦の養子だとかじゃなく、母親もちゃんと一人いるにも関わらず父親が四人ですからね。覗いてみたい家族構成で興味深々です。そしてその子供である主人公が政治がらみのごたごたに知らず知らずに巻き込まれてゆく感じのこれまた政治・社会性の強い作品となってました。

正直また政治色の強い作品かぁ~と思ってしまいました^^;全然政治に興味がないというわけではないんですよ、これでも社会人ですし(笑)でもね、国内の政治ものってどうもリアリティに欠けて絵空事感がびしびし伝わっちゃうんですよね。小説に必ずしもリアリティは必要なんて思わないんだけど、身近な風景や人物像が描かれているだけにリアリティに欠けるとどうもちぐはぐな感覚に襲われてしまうのですよね^^。「焼きそばの中にイチゴが入ってる!」という感覚^^;とおでる設定は魅力的なのですが、スナイパーとかでてくると〔日本の中の米国〕にみえちゃってしかたがないです^^;でもこんなこと思うのは少数派かもしれませんね(苦笑)

そういう日常生活の中の非日常的すぎる存在を除けば、これは初期作品同様に大好きな伊坂作品でした。今まで以上の強烈な個性をもったキャラがいるわけではないですが、四人の父親も多恵子も鱒二も殿様もなかなかキャラ立ちがよろしいです。四人でひがみ合うのではなく、「俺が父親でなくて誰が父親だ?」的な愛情で競い合う姿はやはり伊坂さん独特の思考の賜物でしょう。また、ミステリとしての面でもさすがだなっと思わずにはいられませんよ。伏線の職人は道尾秀介と伊坂幸太郎だなぁーと思ってしまいます^^ミステリー部、キャラ同士の対話での印象的な言葉群などは伊坂さんらしく優れたものでした。

でもやっぱ初期作品にあった行間にあるほの暗さという作品全体をとおしての哀愁漂う何かはもう消滅してしまったのですね。『ゴールデンスランバー』以前の作品であれど、本書の時点ですでに伊坂さんしか持てない明かりの中に佇む影はなくなったようで残念です^^。自身も作風が変化してるようなことをあとがきでも述べられてますし、もうこの好意をもてる影なるものは戻ってこないと思うと少し寂しくもあります。ですが、エンタメ特化して皆に受け入れられる雰囲気でいくのもこれまた一興だと思います^^



3.6 なむなむ!
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.25 2010 【本:伊坂幸太郎】 comment2 trackback0

佐藤鉄章 『隠された邪馬台国 ~ついにつきとめた卑弥呼の都~』

                    hsfh 013

タイトルにあるように〔邪馬台国〕についての本です。この本を検索してみても記事や内容を記したものはおろか、紹介文すら出てこないようなマイナーな本のようです(苦笑)なので紹介文はなしで^^。でもこのヤケて茶色く変色したパサパサ感が好きで気に入ってる一冊となってます。なんか古本のほうが読書意欲そそられちゃうから不思議です^^。


邪馬台国といえば未だにその所在が不確かで、【近畿説】と【九州説】という二説を巡って論争が続いていて確かな統一論が待たれる歴史学の一つであります。明治時代から論争が始まって現在までまだ確固たる所在の確定がなされてないのは、ひとえにあの時代の日本にはまだ文字文化というものがなく(後の『日本書紀』や『古事記』には少し記述があるものの、内容の乏しさから信憑性なし)、現存する文献などが皆無であり、それ故確証が得られないといった流れが続いてます。ではどうやってこの二大説を論じているのかというと、これが同時代に隣の大陸に存在した〔三国志〕の【魏】などとの交流を綴った〔魏志倭人伝〕などの海外文献からの記述のみなのですね。しかし、それはそもそも3世紀前後に書かれた文献であり、現在とは記述の認識や解釈次第ではどうとでもとれちゃうような書き方がなされていて、それが〔邪馬台国〕という卑弥呼の居場所を常に揺さぶってしまってるようなのです。

確かにこれだけ昔の文献となるともう無事現存しているということだけで驚きに値する類のものなので、信憑性なども予測以外なかなかどうともできないのでしょう。しかし、本書では陳寿が残した〔三国志〕、〔魏志倭人伝〕や〔紹熙本〕や〔紹興本〕やなどを吟味し照らし合わせて辻褄を合わせた研究成果を発表したといった感じです。だけど、まず最初に記されていることというと、これが古田武彦の『邪馬台国はなかった』という著作の考察を論はすることから始まっております。ですが、歴史の授業以外で初めて突っ込んで書かれた〔邪馬台国〕に関する書物を読んだ僕にとってはイマイチこの本への論破がピンとこなかった^^。たぶん古田史学が文献を捻じ曲げて無理やり行き着かせたゴールの間違いをきっちりと正したような印象はあるけど、本書の評価も信憑性も調べられてないのでどちらが正しいのかははっきりとはわからないのが本音です(苦笑)

そもそもまず「短里法」と「長里法」や「〔韓・倭〕全方位などの考察が小難しくて読むのに時間をかけなければ素人ではなかなか納得することができない(苦笑)だけどこの確実には俯瞰できない所在不明というロマンは読んでいると楽しかったのも事実。最終的に著者は【大宰府】という大宰府付近にあった説をとってはいるが、これも可能性の提起の一つでしかないのでしょう。ですが〔畿内説〕〔九州説〕どちらに付くとかそういう読み方ではなく、これだけ多くの考古学者などが惹き付けられてしまう魅力的な謎に対する導きはとても堪能できました。〔榎一雄〕や〔古田武彦〕の説なんかも機会があればぜひとも読んでみたいと感じ、また一つ興味を持つ分野が増えてしまったなという嬉しい悲鳴を得られましたねー^^。


読了後少しこれらについて調べてみましたが、どうやら現在は〔畿内説〕が有力視されているようです。これは文献からの推測以外の物的証拠が畿内から多く出土していることからくるようです。この二代論争に終止符を打つような証拠が生きている間に発見されるのか?それもいつか知れたらいいなという想いも芽生ちゃってます^^



3.6 なむなむ!
.25 2010 【本:言語芸術】 comment0 trackback0

喜国雅彦 『本棚探偵の冒険』

                    本棚探偵の冒険

ある時は人気漫画家、またある時はミステリマニアで愛妻家、しかしその実体は------〔古本者〕だった!ポケミス求めて東奔西走、狂喜乱舞の乱歩邸、試行錯誤の豆本作り。単行本収録の座談会「嗚呼、本日も古本まみれ」をオマケに付け、マニア魂を持つすべての人に捧げる、抱腹絶倒のエッセイ集、ついに文庫化。〔集めるだけで読まない人〕が癒される一冊。  (BY 背表紙紹介文 双葉文庫)

職業は漫画家のようですが(漫画未読^^。)、どうやらミステリ系の蒐集家でもある喜国さんの蒐集の日々を綴ったエッセイ集が本書『本棚探偵の冒険』です。紀田順一郎さんの蒐集ぶりに驚きましたが、喜国さんの熱意(いや殺意か?)にも驚きましたね^^。もはや感覚的には異星人って感じですわ(笑)

数々のエッセイが収められておりますが、ほぼすべて古本蒐集行脚の日々が綴られていて、その他に二階堂さんや有栖川さんや京極さんなどの作家さんとの逸話や豆本製作秘話なども読めます。古本屋や古書市などでの姿勢を読んでいるとやはり少なからずそういうとこへ行ったことある者にとっては著者の姿がキラキラと輝いて見えます。よくぞそこまでやれるもんだっ!的な(笑)でもやっぱり住む世界が違うので共感する箇所と共感しない箇所がくっきり別れましたね^^。絶版本は欲しいけど持ってると判ってる同じ本を二冊も三冊も欲しいとは思わないですし(苦笑)でも読んでいると文句なしに面白いんですよ。文体とかユーモアもあるんですが、たぶん〔大好きな作家がいる〕という共通項さえあれば面白く感じれるエッセイだと思います^^

乱歩邸の蔵の写真は今でもネットで見れますが、あの写真を見ただけで僕でも興奮したし、喜国さんが実際に訪問した逸話の興奮がすごく伝わってきました。なぜ乱歩記念館がないんだろう。。。あと横溝の黒背コンプリートには羨望のまなざしとともに、テンションが下がる思いも。だって今僕も集めてるのに、そんなに手に入りにくいものもあるなんてっ!(嘆)まぁ僕は喜国さんのように一日に何件も回ってお目当てのものを探すなんてことはせず、ないなら待とうな家康系買いする人なので、はなっから長期プランなのですけどね^^。あっ、そういえば「愛の往復書簡」を読んでて「ダレル・ミラー書簡集」買おうか迷ってたこと思い出したりもしましたし、〔100均の鬼〕というフレーズにはちょっぴり先輩と呼びたくなったり(笑)


読んで楽しんだという意味では今年一番心底楽しめた本となりました^^


3.8 なむなむ!
.25 2010 【本:言語芸術】 comment0 trackback0
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読書をライフワークとしております。読むジャンルは本のジャンルは基本的に小説です。特に文学、ミステリ、SFを好み。何かお薦め本があればご指南ください。リンク・コメント・TBも大歓迎ですのでどうぞよしなに^^

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