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松岡正剛 『多読術』

多読術



読書の楽しみを知れば、自然と本はたくさん読めます。著者の読書遍歴を振り返り、日頃の読書の方法を紹介。本書を読めば自分に適した読書スタイルがきっと見つかります。読書の達人による多読のコツを伝授。   (BY BOOKデータベース  ちくまプリマー新書)

毎夜チェックしている『千夜千冊』を手がける松岡正剛さんの著作です。タイトルにあるように読書に関する事柄が書かれているんですが、『千夜千冊』を読んでいる方にとってはこれほど手にとってみたいと思う読書指南本はないのではないでしょうか。あの松岡正剛の読書遍歴を毎夜一冊づつ惜しみなく読ませてくれ、尚且つあの深遠で知の巨人に相応しい編集力で読み手を納得させ魅力する蠱惑的な記事たち。その一端にでも触れられれば、自分の読書スタイルの何かに変化を齎せてくれるかも知れないと思わせてくれる本書のタイトルですが、その通り読書に対する何かが芽生えちゃいます。


僕のブログに毎日のように遊びに来てくれてる方なら気付いてくれてるかも知れませんが、最近僕は図書館の本を借りなくなりました。古本で買って温めている積読本か、稀に買う新刊しか読んでません。なので例年にも増して今年の新刊本の読書数が激減しているのはそのせいなのです(苦笑)

なぜ図書館に行かなくなったのか?というとこれが面倒だからでも返却期限を遵守できないからでもありませんよ(笑)実はその理由は本書の著者・松岡正剛さんの影響からなのです。この本を読む前から正剛さんの記事や動画などで〔本はノートと思え〕的なアドバイスを聞いてから、それを今年の中旬から実行し始めてるんですね。その本をノートにするということはすなわち「本にマーキングしたり、文字を書き込んだり」するということなのだから、これは図書館本ではどうしてもできない。やったとしても返却しなきゃいけないから読み返せないのですよね^^。

初めは本に付箋だけでなくマーキングすることには少し抵抗がありました^^。でも僕は買った本は売ったことがないし、マーキングを躊躇う理由がないことに気付いたのでもうはじめの一筆からはガンガン書き込みしております(笑)気になる文章や警句、人物名や書物の名などなど、気になれば自分なりのマーキング方法を確立している最中です。これがとても役に立っていて、ブログやらに記事を書くときにはどうしも気になる箇所を再読したりしますが、とても楽です(笑)本書の中にも書かれているように「本を二度読む」際にもこれは効果的で、著者のエッセンスと一度目にマーキングした箇所がちゃんと要点を把握しているかを客観的に感じることが出来たりします。この読書法は一度目には効果的で再読時には能率的に読書をすることができちゃうからこれだけでも僕にはプラクティカルに作用してくれてると思ってます^^

もちろんそれだけが書かれているのではありませんよ。本書には松岡正剛という何十年も読書を継続している知の巨人のエッセンスが深く深くに根付いてますから、それに全部書き記すということはまず不可能です。それだけ正剛読書術は濃いとも言えます。

なので僕が印象に残った箇所を少しだけ抜粋させてもらうと、まずは「目次を読み込む」ことです。これは僕自身まったく行っていませんでしたね(苦笑)買う前に目次をパラパラと見たりはしますが、この目次を重点的に読み込むんである程度内容を把握してしまうところがエクセレント!ですね。一度実行してみましたが、一章目から全く見当違いなものを目次から想像しちゃいました^^。でもこれをやることによって目次から本の内容がある程度把握できるようになるのだから、全く知らない本を手にとっても興味深いかどうかを判断できるようになれるかも知れませんし著者のモデルを見極めることができるようにもなれるでしょう。でも目次がおざなりな本には全く効かないかもしれませんが^^。

だらだらと長文かきすぎなので後は駆け足で要点だけ書いていくと、「本とはリスク、リスペクト、リコメンデーションの3Rである」とか、「複合読書法」や「リンクを増やすための編集的読書法」、本から本へという間テキスト性への言及。「音読から黙読へ」、「自分にあったスタンスで読む」とか「読書と向き合うのに構えてはいけない」などなど、この190Pの中にこれでもかと松岡読書思考が詰まってます。披露されている著者の読書遍歴にも目を見張るものがありますし、松岡さんがマーキングした本の写真なんかも載ってたりするのでとてつもなく読書の参考になる著作でした。やっぱり知の巨人は松岡正剛だ!


読んだ本は数あれど、それから得た知識や情報、果ては内容までもが雲散霧消してしまっているという僕も含めた読書好きさんは、ぜひとも読んで自分のスタンスに変化を齎せたほうがいいのかも知れません。最近は乱読よりも一冊を読み込む読み方が俄然楽しくなってきております。正剛さんのおかげです(笑)


4.3 なむなむ!


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.29 2010 【本:どんでん返し/名推理】 comment6 trackback1

【2010年 マイベスト】

こんちわー。昨日はものすごく寒かったですね!京ではホワイトクリスマスになりかけ(^^。)、止まりのパラパラ雪でした~。それは置いておいて、続々とお仲間さんのランキングが拝見できて楽しい今日この頃。それに便乗して僕も今年のランキングをさせていただこうと思いますー^^今年はなんと!100冊にも到達できませんでした(苦笑)過去最低ですが、その分仕事に精を出したということにしておいてください^^。
読了本が少ないので、「ここまではランクインさせたい!」と思える5,6冊のランキングにさせていただきます。もちろん例年通り新刊本のランクインは少ないと思われw


〔翻訳小説マイベスト〕

1.ヴァージニア・ウルフ    『燈台へ』 

〔意識の流れ〕という淀みない不思議な手法にやられちゃっいました。今年の翻訳ものでダントツ一位でした。

2.イーディス・ウォートン   『幽霊』 

オーソドックスなゴシックホラーの面白さを改めて感じさせてくれた一冊。ゴシックホラー好きだ^^

3.ジェフリー・ディーヴァー  『魔術師』 

奇術とミステリーの絡め方がとんでもなく楽しめちゃう一冊。もはやディーヴァーに外れなし神話は伝説にw

4.アラン・ベネット   『やんごとなき読者』
読書に比較的遅く目覚めた僕にとって、これほど心情に共感できる本はそうそうない。身分だけ全く違うw

5.アントニイ・バークリー   『毒入りチョコレート事件』 

13人が同じ事件を各々の論証で語るという趣向が愉快で、ページを捲る手がとまらないといった読書でした。

6.ジェイムズ・ティプトリー・Jr 『愛はさだめ、さだめは死』
今年唯一のSFランクイン^^;振り返ってみると全然SF読めてなかったんだなぁ。来年は巻き返すゾ!
 
7.マーティン・ミラー  『ミルクから逃げろ!』
今年のチル装丁大賞を受賞した本書の装丁はかわゆいです(笑)中身は好み次第では・・・・・・^^。


次点.ポール・トーディ  『イエメンで鮭釣りを』 



〔国内小説マイベスト〕


1.森見登美彦  『ペンギン・ハイウェイ』

登美彦氏は何を書いてももう間違いないです。SF大賞まで獲ってしまうのがそれを証明してますね^^

2.川端康成   『山の音』

これは静謐でありながらちょっとしたエロティズムもあって、イメージとの相違になかなか驚いた。でも傑作。

3.万城目学   『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』

刎頚の友とマドレーヌ夫婦に萌えるとともに感動を覚えた作品。万城目氏の著作で白眉かも^^

4.伊藤計劃   『虐殺器官』

一冊にここまで濃厚な密度でいろんなものを凝縮された本はなかなかない。ストーリー自体も素晴らしい!

5.横溝正史   『犬神家の一族』

もう毎年ランクインしちゃうでしょうね、正史様は(笑)

6.森見登美彦  『美女と竹林』

バンブゥウウウウウ!普通の人が竹林に興味を持てちゃう本ってくれが一番じゃないかな?w

7.伊坂幸太郎  『オー!ファーザー!』  & 『重力ピエロ』

迷ったけど、どっちも入れました。正直ピエロの方が好みかもしれませんが^^。

8.三津田信三  『赫眼』

三津田さんのこのメタ的手法は僕の好みのツボをすごく刺激します。怖さも一級品のものが多々^^;ゾゾ

9.太宰治    『走れメロス』

今年は自己内で太宰がグングンあがってきてます!古書店で『太宰研究』ってのを買っちゃったくらいw

10.赤川次郎   『マリオネットの罠』

赤川次郎をなめちゃいけません的な初期の傑作でした。印象に残るのは素晴らしいからです。



〔書籍全般部門マイベスト〕


1.サルヴァドール・E・ルリア   『分子から人間へ』 

分子生物学という何やらわけわからん科学ですが、読めば都です(笑)深遠なる生物学へ旅できますよ。

2.スティーヴン・W・ホーキング 『ホーキング、宇宙を語る』

わけわかんない記述もあったんですが(^^。)、それはそれ。理解できるとこだけでも膝を打つことだらけ。

3.石田卓夫   『猫のエイズ』

猫好きにはぜひとも読んで猫という動物を芯から知って欲しいです。猫本として貴重な部類ではないでしょうか。

4.リチャード・A・ヴェルナー 『円の支配者』

日銀をここまでするか!ってくらい深く切り込んだ日銀本。著者の理論展開は一笑に帰すことはできない。

5.吉本佳生  『スタバではグランデを買え!』

身近なもので経済学がなんたるかを学ばせてくれたありがたい本。納得できない箇所は許してあげてw

6.布施英利 『君はレオナルド・ダ・ヴィンチを知っているか』  

ダ・ヴィンチをおさらいするにはうってつけ。基本的なことは多いけど、ダ・ヴィンチ好きには◎。



今年新たに新設された〔書籍全般部門〕はどうでしょうか?なかなか食いついてくれるかたはいなさそうですが(苦笑)、今年は今までの小説の広がりに加えて経済~科学までにも広がってしまいました。どうかこれ以上読書の連環を広げないでおくれ^^;

今年は全然読書が捗らなかったので、来年はちょっと気合いれて読もうと思います^^

納得できない順位もあるかとは「思いますが、あくまでも好みなので温かく見守ってください(笑)



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.26 2010 ☆☆年間書籍マイベスト☆☆ comment6 trackback0

恒川光太郎 『草祭』

草祭


ひっそりとした路地の奥、見知らぬ用水路をたどった先。どこかで異界への扉が開く町「美奥」。その場所は心を凍らせる悲しみも、身を焦がす怒りさえも、静かにゆっくりと溶かしてゆく。消えたクラスメイトを探す雄也、過去から逃げ続けてきた加奈江……人びとの記憶に刻まれた不思議な死と再生の物語を注目の気鋭が綴る。   (BY BOOKデータベース)


ノスタルジックで独特な世界観を持つ恒川光太郎さんの四作目となる本書『草祭』。なぜか雷~だけ読み飛ばしちゃってますが、即読の二冊は哀愁、悲哀、郷愁、故郷、などなど、いろんな懐かしさを連想させる幻想さを持っていて賞賛に値するものでした。連作短編は恒川さんの新たな試みでしょうが、間違いなくやってくれるに違いない!と思いつつ読み始めました^^

初の連作短編集(たぶん)となっており、「けものはら」「屋根猩猩」「くさのゆめがたり」「天化の宿」「朝の朧町」の全五篇収録。連作短編なのでそれぞれの短編が持ってるエピソードをリンクさせ、手を代え品を代えつつも、「美奥」という一つの舞台を美しい幻想で包み込んでいます。人を化け物に変える野原とか、苦しみを解く花札のようなゲームの話があったりと恒川さんらしい世界観はやはりブレてなくて嬉しい。「朝の朧町」小さなガラス珠の中に世界を構築するという発想が、恩田さんの『朝日のようにさわやかに』の「冷凍みかん」を連想させた。もちろん朝日~での僕の一押しが「冷凍みかん」だったので、おぼろまちも好きだった。終わり方もブッラクであったりもするのですが、決して不愉快になる類ではないし逆に余韻に浸ってしまうのも不思議。これも恒川さんの武器だと思います。「天化の宿」に出てきた<天化>というゲーム。なんかものすごくやってみたいんですけど!(笑)

ちょっと近代化とPOP感が増して、『夜市』や『秋の牢獄』ほどのレトロノスタルジーが少し薄れてしまってたのが残念といえば残念。ファンタジーと幻想の間のような感覚だった。この<ファンタジーと幻想の間の感覚>、これ以外に説明しようがない感覚だけども、この言葉のニュアンスを感覚で捉えてくれた人はたぶん幻想大好きさんのような気がするー^^やっぱ恒川作品はファンタジック寄りではなく、幻想です。モリミーの『きつねのはなし』や恩田作品がたまに発するノスタルジックな感じも少し感じましたし、結局は大好物であるみたい^^

一つだけしっくりこなかったのがタイトルの『草祭』がどこからきたのかということ。なんとなーくならわかるんですが、明確な答えが導き出せないので、助けてもらいました。分厚くて場所をとるが頼りになる広辞苑様!草はそのまんまでしょうし、問題は「祭」。祭で調べてもしっくりこないですが、祭は祭るでもありますから調べると※神としてあがめ、一定の場所に鎮め奉る。という意らしい。うん、これで解決しました。広辞苑さまさまですね~^^。

雷~は未読だしいつ読むかわからないけど、もうファン公言作家さんへ仲間入り決定ー^^だって、闇に恒川さんのブログとか毎日見てたりもするしww


3.8 なむなむ!


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.24 2010 【本:言語芸術】 comment0 trackback0

恒川光太郎 『秋の牢獄』

秋の牢獄


十一月七日、水曜日。女子大生の藍(あい)は、秋のその一日を、何度も繰り返している。毎日同じ講義、毎日同じ会話をする友人。朝になれば全てがリセットされ、再び十一月七日が始まる。彼女は何のために十一月七日を繰り返しているのか。この繰り返しの日々に終わりは訪れるのだろうか――。まるで童話のようなモチーフと、透明感あふれる精緻な文体。心地良さに導かれて読み進んでいくと、思いもかけない物語の激流に巻き込まれ、気付いた時には一人取り残されている――。圧倒的な多幸感と究極の絶望とを同時に描き出す、新鋭恒川光太郎の珠玉の作品集。  (BY BOOKデータベース)


『夜市』で日本ホラー小説大賞を受賞した恒川さんの三作目の本書。ホラー小説大賞を受賞した『夜市』でしたが、これはホラーというカテゴリーには決して収まりきるような作品ではなかったと思いますし、グッっと心を持ってかれた作品だったので今後どのような作品を書いてくれるのか楽しみにしてた作家さんです^^(でも、雷~は飛ばしてしまったのですが^^;WHY?)

『夜市』は二編の短編が収録されていましたが、今作では表題作の「秋の牢獄」に「神家没落」「幻は夜に成長する」という全3作の短編が収められておりました。やはり短編でした。というのもこの方の文章はとても端整で綺麗であり、無駄な言葉はほぼないという簡潔な文章を書かはるのでウダウダと書き連ねる必要がないのです。長~いキングに完結光太郎といったところでしょうか^^wこういう短い一編一編に自分の表現したい世界観や雰囲気をちゃんと凝縮させつつも、ちゃんと読者の心を捉えるというのはやはりスゴイということではないでしょうか。

「秋の牢獄」は主人公がひたすら11月17日を繰り返してしまうというお話。その主人公はある日突然に11月17日を繰り返してるなと気付き、最初はそれを楽観視していたのだが他の人間にとっては11月17日を繰り返しているという認識がなく、自分だけおかしなことになっている主人公は徐々に寂しさと共にいつまで同じ毎日を繰り返さなくてはいけないのかと次第に不安が募っていくのです。しかし、ひょうんなコトから自分と同じ体験をしているリプレイヤーと呼ばれる人たちと出逢いそして・・・・・・というような物語です。タイトルの通り牢獄に閉じ込められてしまってますね^^こういう時間SFチックなモノは好きです。そして恒川さんの哀愁漂うこの雰囲気の共存具合がとても気に入ってしまいました。いずれも現世とどこか不可思議な世界との間を漂う者たちの姿を、端正な文章でノスタルジックに書いているのではやり前作と同様なにか民話のような趣があります。やはりこの人にしか描けないような世界観なんだなって思いますねっ。なので、この前読んだ森見さんの『きつねのはなし』の雰囲気が似ていたのでビックリしました!わしはこういうセンスの方がやっぱ好きなのですねぇ~(笑)

「神家没落」はとある民家に閉じ込められた主人公を中に住まわせたまま、全国各地を決められたとおりに移動する古い民家のお話。 これもやはり牢獄という閉じ込められたというもので、この本の共通テーマだったようです。閉じ込められるという異常な状況ながらも、主人公は次第にその生活にも慣れ楽しみすら見つけていくが。。。。。表題さくよりかはこちらの方が少しホラー色が強かったです。そしてこれの文章も静かな川の流れのように淀みない文章が際立ってます。「幻は夜に成長する」はちょっとトーンが下がり暗澹たる気持ちにさせられちゃいました^^;でも、子供の視点から書かれてたりもするので感情移入という点ではすごくしやすい物語であったとは思います。


今回は表題作が一番好きでした。恒川さんの自分の中でのNO.1短編は「風の古道」のノスタルジーと主人公の孤独感なのですが、本書を読んでやっぱ恒川ワールドって存在するんだなって思わせてくれた作家さんでした^^こういう系統はあまり読む機会がないのですが、恒川さんのはなんか今後も安心して読ませてくれそうな安定感もあるような気がします。そしてそしてこの方、もしかして本当にそういう体験してるんじゃないですかねぇ?なんて思ったりもしちゃいますね^^w



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.24 2010 【本:言語芸術】 comment0 trackback0

恒川光太郎 『夜市』

夜市


大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司から「夜市にいかないか」と誘われた。裕司に連れられて出かけた岬の森では、妖怪たちがさまざまな品物を売る、この世ならぬ不思議な市場が開かれていた。夜市では望むものが何でも手に入る。小学生のころに夜市に迷い込んだ裕司は、自分の幼い弟と引き換えに「野球の才能」を買ったのだという。野球部のヒーローとして成長し、甲子園にも出場した裕司だが、弟を売ったことにずっと罪悪感を抱いていた。そして今夜、弟を買い戻すために夜市を訪れたというのだが―。幻想的かつ端正な文体、そして読む者の魂を揺さぶる奇跡のエンディング!  (BY BOOKデータベース)


第十二回日本ホラー小説大賞受賞作で恒川さんのデビュー作。ホラー大賞の審査員・荒俣宏さん、高橋克彦、林真理さんがこぞって絶賛されていました。ホラーということで読んでいると恐さを感じる場面もあるが、それと同じくらい陰を含んだファンタジックな作品でした。森見さんが陽なら、恒川さんは陰みたいなファンタジックさ。文章は淡々としていて読みやすい文体なのですが、それは端整というか無駄がないという類のもので、文章が頭の中で無理なく映像に変わるという描写力もなかなかでした。ホラーはキングのを好んで読むくらいですが、日本にもこんなホラーを書く方がいるのだなぁと新たな嬉しい発見。ただのカブトムシを取りにいったのに、ノコギリクワガタをゲットしたみたいな(なんだそれ)森くんだりまで来た甲斐があったみたいな感覚です(?)

『夜市』と『風の古道』の二作が収録されています。どちらの話もこの世のものではない不思議で妖しいこの世界とは違う異世界と繋がっていて、それがとっても奇妙で魅力的。実際の神隠しとかはたぶんこういった感じのことを体験するのではないかと思えます。

『夜市』は冒頭から文体と同じく物語にも無駄が一切無く、一気に恒川さんの世界にひきこまれます。「夜市」に行けば何でも望むものが買えるけれども、何かを買うまでは夜市から抜け出すことは出来ないという異世界フリーマーケット。そこでの兄と弟の出来事は恐ろしくもあり悲しくもあるし、展開もとてもおもしろい。兄の後悔と無念さ、変わりたいと願ったわけでもないのに変わらなければいけない状態に陥ってしまった弟の逞しさ、どちらも読んでて辛いですが、この兄弟が最後どう交錯するのかとても気が気でなかったです(^▽^;)兄はその後どうなったのでしょう。。。

『風の古道』もまたグーググー。書き下ろしの『風の古道』もまた、不思議な異世界の道に紛れ込んだ少年たちの話です。雰囲気ははからずも夜市と同じです。こちらも縛られた状況の中で何かを打破するという誰にでもありえる共感とそれが異世界という未知の魅力溢れる世界がとてもひきつけられる。でも、どちらの話にも共通して子供なのになぜか言う事や思考がちょっと大人びすぎているような気もしないではないですが、こんなものなのでしょうか。

どっちが好きかというと、どちらも甲乙つけがたいあくらい良かったのでどっちがいいとかはないですね~。どちらも同じくらい好みでスラスラと読んでしまいました。本の厚さも薄い部類に入るので二時間くらいで読めます。ホラーが嫌いな人にも読まず嫌いな人にも広く受け入れられる物語だと思いますよん。



4.1 なむなむ!


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.24 2010 【本:言語芸術】 comment2 trackback0
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