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『シャイン』

シャイン2


実在するオーストラリア出身の天才ピアニスト、デビッド・ヘルフゴットが、さまざまな苦難を乗り越え演奏家として再起するまでを描いた感動ドラマ。主演のジェフリー・ラッシュは、今作でアカデミー主演男優賞を受賞。


オーストラリアに実在するピアニスト〔デイヴィッド・ヘルフゴット〕の半生を描いて映画化したもの。有名な作品なので観てる方も多いでしょうが、僕は正直今まであまり食指が動かなかった(苦笑)だが、クラシックを猛牛のように一直線に聴き始めてから俄然この作品が魅力的に映りとうとう観るにいたったのでござい。

ヘルフゴットという人物は本物のピアニストで今でも演奏をしているようだ。だが、この作品に描かれるように一度は音楽界から消えてしまった人物でもある。その経緯も本作には描かれていて、重要な要素ともなっているのだが、この人はある日精神を病んでしまうのだ。それはここで描かれていたヘルフゴットの父親の重圧などが主な原因のようだが、表面化したのはラフマニノフのピアノ協奏曲第3番を演奏会で弾き終わった途端倒れてしまう箇所にある。そんなドラマチックなというか絵に描いたようなタイミングで倒れてしまうのはいかにもドラマ的だが、〔神童〕と幼少期から言われていたヘルフゴットのキーは父親であり、ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番ということが本作の前半部で示唆されているので、あの倒れてしまうシーンは「遂に3番を弾ききった!」と思うと同時に、ああなってしまうのも納得させられてしまう悲しいシーンでもあるのだ。

しかし、そこからいろいろな経緯を経てワインバーで弾き始めるのだ。神童と呼ばれたピアニストがどの街中にもあるワインバーで、客の為だけに弾くのである。なんて贅沢なワインバーであろうか(笑)そしてヘルフゴットは音楽会にもカムバックするにいたるところも感動的だし、DVDのジャケットにあるこのシーンは演奏会などとは対照的になんのプレッシャーもない自由なヘルフゴットの姿を見せてくれているようで心温まる。「この人から音楽をとっちゃいけないよね」とも。この映画を観ているとたぶん誰もがこの人物を愛してしまう、そんな人物として描かれていて好感を持てる映画なのは間違いない。父親もああいう押し付けは駄目だとは思うが、憎める人物ではなかった。だってあそこには確かに愛があるように受け取れたし、ヘルフゴットがカムバックしたときもちゃんと逢いに来るのだから。ただ、父親自身もその父親から受けた影響から、愛情の屈折度が過ぎてしまっただけだろう。ただ、この父親がもっと違った人物だったら、ヘルフゴットのピアニストとしての道程がどうなっていただろうかと思うと残念でならないが。

いろいろ書いたが、自分としては映画やストーリーとして観るだけでなく、音楽・ピアニストとしての面で観る姿勢も大きかったと思う。ミュージカル映画とはちと違うので「映画の音楽会」とでもいいましょうか(笑)、当たり前だけどそれほど音楽が効果的にしかも感動的に流れてくる映画なのだ。ラフマの3番はもちろん、コルサルフ「熊蜂の飛行」やショパン「英雄ポロネーズ」などの挿入曲もシーンごとに効果を発揮していた。

でもやはりなんといってもラフマの3番でしょう^^ヘルフゴットは父親の教育(刷り込み?)もありラフマ3番を弾こうとするのだが、この3番がとっても曲者でピアノ曲でも一番の難曲とまで言われるような曲なのだ。この作曲者ラフマニノフ自身が名ピアニストであった為、しかもラフマニノフは大柄で手がとてつもなく大きかったらしく1オクターヴの和音の嵐らしいのだ(苦笑)しかも「片手に10本の指があると思って弾け」と作中で言ってるくらい早い超絶技巧ぶり。ヘルフゴットにとってはちょっとチャレンジする時期が早すぎたのかも知れない。そんなラフマ3番だが、僕もCDを1枚だけだが持っていて、それが↓のCD。

アルゲリッチ



(P)アルゲリッチ/シャイー指揮のラフマ3番。これを聴いて見ても超難曲というのもわかるし、3番の演奏を残しているのもこのアルゲリッチやホロヴィッツ、アシュケナージ、キーシン、ギーゼキング、ギレリスなどなど名ピアニストと呼ばれる人ばかりなのだから難しさは折り紙付きだ。しかも僕が大好きなピアニストであるルービンシュタインは3番をどうやら挫折してるらしいのだ(苦笑)同じところで何度も間違えた為に録音を断念したらしいが、一度聴いてみたかったなぁ。。。でもピアノも技巧だけがいい演奏じゃないのである。確かにこのアルゲリッチの3番は男勝りの打鍵が迫力あるし、和音連打も見事だと思う。だけど、ちゃんと聴くとアルゲリッチのピアノに指揮者/オケがたじたじな印象を受ける^^;いい意味にとるとアルゲリッチのピアノは牽引してる感じだが、悪く取ると自己中なピアノ(笑)ヒントじゃじゃ馬なんだなぁ。アルゲリッチは(苦笑)で、技巧の話だが、並録されているチャイコの1番をルービンシュタインと聴き比べると良くわかる。

ルービンシュタイン



ルービンシュタインのチャイコの1番は叙情豊かで洗練されていて、コクがあってこんなに感情豊かにピアノを唄わせる人はルービンシュタインだけだと思わせる名演奏だが、アルゲリッチのは聞き比べると突っ走りすぎだし早すぎる感じもしちゃうのだ。まぁ好みの問題といえばなんでもそうなっちゃうが、ルービンシュタインの演奏はルービンシュタインしかできないが、アルゲリッチの演奏は技巧があればみな大差なくできちゃう演奏のような気がするので、上手けりゃいいってもんじゃないなと(笑)

あまり関係ない話は置いておいて(苦笑)、本作の主人公ヘルフゴットは実際にラフマの3番をCDで出してるのである↓


ヘルフゴット


難があるとかユニークな演奏だとか、賛否両論ある演奏のようだけど、実際に聴いたことがないので僕はなんとも言えない。が、ヘルフゴットの人生を知った今では、その演奏がどうなっているのか聴きたくてたまらない。そのうち絶対買って聴こうと思ってます^^あっ、それとラフマの3番は作曲者兼ピアニストでもあるラフマニノフの演奏もCD化されてる。録音状態はあまりよくないようだが、作り手自身の解釈はぜひとも押さえておきたい。聴きたいCDがどんどん増える(笑)


監督 : スコット・ヒックス
出演 : ジェフリー・ラッシュ  ノラ・テイラー  アーミン・ミューラー=スタール




4.0 なむなむ!



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.30 2011 【映画:ミュージック】 comment2 trackback1

島田雅彦 『悪貨』

悪貨


ある日、ホームレスが大金を拾う。だが、その金は偽札だった! 捜査にあたった日笠警部が事件解決のために招喚したのが、偽札捜査のスペシャリスト・フクロウ。 一方、「美人すぎる刑事」エリカは、国際的金融犯罪を取り締まるため、マネー・ロンダリングの拠点となる宝石商・通称「銭洗い弁天」に潜入捜査をすることになった。そこで捜査線上に浮かび上がってきたのが、グローバルな資本主義を超える社会を目指す共同体「彼岸コミューン」で育ち、今や巨額の資金を操る野々宮という男だった。 最後に勝利するのは、金か、理想か、正義か、悪か? ハイスピードで展開する「愛とお金の物語」   (2010.6.21  講談社)


島田雅彦さんの作品は本書がファーストコンタクトです。あまり縁がない作家さんでしたが、このタイトルに惹かれ手にとってしまいました。経済の興味がある上に〔貨幣〕、それも〔悪貨〕ですから見逃せませんね^^

まず初めに一人のホームレスが朝ベンチで起きると足元に現金100万円入った封筒が置いてあることに気づく。それを天からの恵みだといいホームレスは衣服を新調し身だしなみを整え食事をするのだが、あろうことか引ったくりにあってしまい所持金はポケットにある4360円となってしまう。そのホームレスは故郷にいる自分の子供にお菓子などをつめ郵便で送り、手元に残ったのは100円ライター一つ。さぁこのホームレスはどうしたのか?こういう場面から始まるのだが、この場面からしてもう〔お金〕(マネー)というものの正体を暗示しているのである。その一万円札の諭吉がいいたかったのは「カネは人の上に人を造り、人の下に人を造る」と。

その引っ手繰られた100万円の残りも「紙幣」というお金なので、これまた人から人へと流れていくのであるが、これがそもそも〔悪貨〕なのである。もちろん使ってる本人にはそんな認識は全くないが、そのマネーを掴んだ人々に災いを齎してゆく。タイトルが悪貨なので作者はずっとこの調子でマネーの危うさを提示しながら物語を進行していくのは言うまでもない。他にもマネーロンダリング(資金浄化)や日本の現状を揶揄なども盛り込んではいるが、やはり作者が〔貨幣〕というものを主役にした目の付け所が素晴らしい。逆に貨幣を扱った小説というものも、過去にいくつもあるのはある。が、今も昔も〔貨幣〕というものの問題はずっと変わらずあり続けているということなのだ。ゲゼル、ポランニー、トルストイ、エンデなどなど、経済学者が理論を組み立てようと、作家が研究し提言しようと変わってないという怖さ。やはり〔貨幣〕は変わらないしこれからも変われないと思うと、寒気がしてくるのは僕だけなのだろうか。これを読んで「怖い」という感情の一つも浮かんでこなければ、危機感が薄いのかも知れない。

未読の方の為に祖筋はあまり言わないでおくが、島田雅彦の言いたいことは概ねこうだ。「現行の貨幣制度は危ないよ、そのうち破綻するよ」ということ。lこれが〔貨幣〕を研究してる人たちの総意でもあるだろうし、グローバル資本主義のつけだし、ゆるぎない真実だろう。本書はこの題材たちからすると作品のテンションは少し軽い気もするし、主人公のラヴロマンスなんて特に必要ない気がする(まぁ小説なのでしょうがないのかも)。粗も探せば出てくる(ご都合主義な抜け穴など)。でも地域通貨「アガペー」が出てきたり、本書レベルは大げさだが中国の土地買占めなどの危険性を示したりと目の付け所はやはり鋭い作家だ。こういう作品が売れるような国はやはり国民の意識は政治・経済に限らず高いんだろうし、手に取る人が多ければ多いほど安心する。

タイトルで敬遠する人も多いかもしれないが、小説として読むには容易に読了できるし理解もできる。インフレーション、スタグフレーション、ハイパーインフレ、マネーロンダリング辺りの用語が理解できてれば躓くところはどこにもない。理解できてなくてもちょいとググってWikiで調べたらすぐに理解できる言葉だ。あとは読めば小説的な好みだけ。僕は小説的には軽く感じたが、それはいくつかの経済学の本や貨幣の本を読んだから、そういう面に対する軽さを感じてしまったんだと思う。この作品のテーマは大人の一般教養として知っておいたほうがいいと思うしエンタメとしても読めるので、興味がなくても一度読んで見るのもいいかも知れない。ちなみに本書には「理論的には使える偽札」が封入されている。それを見る為に手に取るのも初めの一歩になるでしょう(笑)




3.6 なむなむ!




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.23 2011 【本:社会派/社会】 comment4 trackback1

恩田陸 『土曜日は灰色の馬』

土曜日は灰色の馬


ホラー、SF、ミステリーなど、さまざまなジャンルの物語を書き分け、多くの読者を魅了し続ける小説家・恩田陸さん。汲めども尽きぬ物語の源泉はいったいどこにあるのでしょうか!? ブラッドベリにビートルズ、松本清張や三島由紀夫まで、恩田さんが大好きな本・映画・マンガなどを大胆奔放に語る、ヴァラエティに富んだエッセイ集。   (2010.8.20  晶文社)


久しぶりの恩田陸のエッセイを読んでみた。恩田陸というと僕の中では書くと飲む(食べる)という印象が強すぎて、他のイメージというと結末の恩田感(もやもや感)くらいしか思い浮かばない(笑)それだけストーリーテリングが巧妙でページターナーブリを常に発揮する作家さん。そしてその中に描かれる食事や飲み物の描写がとても美味しそうに映り、空腹小説の書き手さんでもあると勝手に思っている。

本書にはそれは如実に表れていてこれだけ多作でありながら、常にページターナーぶりを発揮するのはすごい才能の持主だと思っていたが、やはり常日頃から日常の小さな粒を拾い上げて物語に膨らますことを考えているようだ。この作家さんにお題をだしたら、それだけで物語を一つ書き上げてしまいそうな想像力と創造力が備わってる気がしてきます。だからあんなに物語に惹きこまれるのが理解できるが、あとは結末だろうか(笑)恩田作品を何作も読んだことある方ならわかると思うが、結末がいつももやもやしてるのだ。まぁこれも恩田陸らしさと言えばそうだし、雑誌のインタビューでも自身で「あえて結末はああいう書き方をしている」と言ってるので恩田らしさの一つなんでしょう。でも、たまには結末においてさえ驚きをくれるような、スッキリした気持ちのまんまページを閉じさせて欲しいとも思うのだ(苦笑)それを数作実行してくれてあのうやむや感に戻るなら、この方の実力に拍車が掛かると思うのだが、、、、わがままでしょうか^^。

でも実は本書はエッセイであって、上に書いたことはその一文を恩田陸バリに膨らませてみただけで本書の内容にはあまり関係がない(笑)ではどういうエッセイ集かというと、小説・漫画・映画をピックアップして、恩田陸の日常に絡めて語るというもので、これもまた恩田陸の話の繋がりの上手さが目立つ。だが、取り上げられる本のラインナップを見てみるとほぼ昔の有名作家の作品ばかり(語られる自身の日常も幼少期は多い)であり、やはりこの人は郷愁やノスタルジーの中にいろんな要素を見出してるんだなと納得。恩田作品に必ずといっていいほど佇んでいる郷愁の根源が感覚的に伝わってきた。作品の雰囲気というのはエッセイにもやっぱり出るんだなぁ。

そんなこんなで小説と同じく惹きこまれる内容ではあるのだが、少女漫画を紹介する項だけは全く夢中になれなかった^^。これはやっぱり女性にしか共感できなさそうな内容なので、男性はポカ~ンと読むしかないでしょう。逆に女性は少女時代(!?)に読んだりしたものへの共感や懐かしさを感じれて楽しいひと時を過ごせる気がする^^

あと面白かったのは恩田陸が選んだ世界全集とか少女の物語ベスト10、少年の記憶ベスト10といった作品のちょっとしたガイドも興味が持てた。もちろんほぼ古典か今では過去の作品ばかりだが、僕の未読と既読は半々くらいだった。読書を本格的にやり始めたときに読んだ『小説以外』というエッセイに紹介されてるものは、あの当時ほぼ未読が占めていたので、ここまで恩田陸の話に付いていけると思うと嬉しくなってしまう。『小説以外』を読んだ時の「よし!自分もここまで語れるくらい読んでやるっ!」という気合や気負いは本書では感じなかったが、懐かしい気持ちにさせてくれた。あっ、やっぱり恩田陸の作品を読むと郷愁に行き着いてしまうんだなぁ。



3.4 なむなむ!



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.20 2011 【本:随筆】 comment4 trackback1

中川右介 『カラヤンとフルトヴェングラー』

カラヤンとフルトヴェングラー


クラシック界最高の名声と金そして権力が集中するベルリン・フィル首席指揮者の座。ナチス時代、その三代目に君臨する巨匠フルトヴェングラー。彼は誠実な音楽の僕でありさえすればよかった、比類なき才能と野心をもった青年カラヤンが現れるまでは―。嫉妬の炎を執拗に燃やし詐略をめぐらす巨匠、巧みに抗うカラヤン、そこに巨匠を慕う無名の田舎音楽家チェリビダッケが加わり、争いはさらに複雑になる。クラシック黄金時代の美と欲望のドラマ。    (2007.1.30  幻冬舎新書)


クラシックを聴く人はもちろん、聴かない人でさえその名は一度ならず耳にしたことがあるであろう〔皇帝〕カラヤン。そしてそのカラヤンを目に敵にし遠ざけ何かと圧力をかけた巨匠フルトヴェングラー。本書は人間性も指揮者としてのスタンスも異なる二人の泥沼の戦いを描いている。そこに重要な脇役として描かれる奇才チェリビダッケにベルリンフィルやヒトラーからナチスなど、政治や第二次大戦などもこの二人の指揮者人生に大きく絡んでくる。だが、本書では指揮者や音楽そのものを描くよりも、フルトヴェングラーやカラヤンやチェリビダッケという人間があの時代に何を思い考えどう生きたのか?というほうに焦点が当てられている。クラシック音楽の本というよりかは人間ドラマと思ったほうがいいだろう。

本書によるとフルトヴェングラーという人は猜疑心が強く優柔不断で女癖も悪い。それゆえ弟子とも呼べるチェリビダッケにさえ疑いを抱いてしまうやっかいな性格だったらしい。しかし、こと指揮に関しては自他共に認めるものを持っており、芸術という点においてはカラヤンよりも全然評価されているのだ。本書に登場するフルヴェンはすでにベルリンフィルの3代目であり、無名のオケの首席でしかないカラヤンなどは足元にも及ばない人物であるのだが、音楽の世界もまたナチスという時代の潮流から逃れられず政治に翻弄されてしまう。もちろんカラヤンもそれは同じだが、フルヴェンの不器用さに比べカラヤンはビジネスという面では明らかに格上で、フルヴェンが排斥しようとすれどしぶとく台頭してくるのである。そこにフルヴェンの後継者と目されていたチェリビダッケやナチス政権の干渉などなど、陰謀や権力闘争という複雑な関わり合いがシンプルに描かれていた。

そのシンプルなタッチと読む上でのクラシック知識は必要ないので、一見すらすらと読めてしまうのだが、裏を返せば単純すぎて味気ない本ともとれてしまう。それぞれの人物は固定観念に固められたような人間味のない人物として映るし、著者の視点も少しカラヤン贔屓のように映って公平性に欠ける気がする。なにより、著者は資料で不確かな情報を憶測だけで終わらせすぎだし、「~かも知れない」という文章の結びを多様しすぎてて信憑性を疑ってしまう。逆に見てもいないであろう一場面を勝手に断定的に、物語的に書きすぎているし、登場人物も一側面でしか捉えず、下手な三文小説を読まされてる気になってしまった(苦笑)情報量も執筆スタンスもアマチュアの線上としか思えなず、題材の魅力からすると残念な読書だったといわざる終えない。



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.13 2011 【本:クラシック】 comment2 trackback0

湊かなえ 『夜行観覧車』

夜行観覧車


父親が被害者で母親が加害者―。高級住宅地に住むエリート一家で起きたセンセーショナルな事件。遺されたこどもたちは、どのように生きていくのか。その家族と、向かいに住む家族の視点から、事件の動機と真相が明らかになる。『告白』の著者が描く、衝撃の「家族」小説。    (2010.6.6  双葉社)


湊かなえの作品は『贖罪』だけ既読で『告白』も読もうとは思ってたんですが、なんだかイマイチ食指が動きません(苦笑)あまりにも騒がれすぎた作品だと読みたくなくなっちゃうですよね、あまのじゃくな性格なので^^^。機を逃してしまったというのもありますが。。。でも黄色いお店で105ゲッツしたので本書は読んでみようかな~と(笑)

『贖罪』で感じた印象やお仲間さんなどから聞き知った湊作品の共通点などを考慮すると、本書もまた湊さんらしい作品だと言えるかもしれない。『贖罪』でも登場人物のほとんどが「どこかねじれた」人であり、以前に比べると水で薄められたような印象があるとはいえどの人物もどこかソフトにゆがんでいる。だが、これくらいのゆがみ、あるいは「人に知られたくない」自己の部分というのは誰でも持ってるはずで、そういう意味では黒々しい小説だとは思わない。しかも、探せば身近にいるであろう登場人物たちの苦悩を見るとかなり現実的なリアリティを発揮した作品だとも思う。

それぞれ登場人物が持つ悩みはそれぞれの立場に応じて様々だったが、ある主婦は「無理して高級住宅街に家を建て」それが幸せを運ぶと信じこみ実現させる。だがいつしか娘は癇癪もちになり夫は頼りなくこの主婦は「無事に一日を過ごせたら」と思うようになってしまっている。この人物で重要な箇所は日本において持ち家を持つというのは価格においても人生の一大事となってしまっているところ。もしかしたら「生涯暮らせる家を持つ」というのが目標になってるくらいだ。別にこれが悪いわけはないが、どうも画一的な目標だし、個人的には人生の通過点の一つにすぎないイベントになって欲しいのだが、手に入れるコストを考えるとどうしても最大の目標になっちゃうのだろう。ゆえに持ち家=幸せと図式化されるのだろうが、やっぱお金で幸せは買えないのである(苦笑)自分の思い描いていた理想がずれすぎて、この登場人物はとんでもないことをしでかしてしまう。

また「癇癪持ち」であったり「子供の進路の為」というようないかにも現代的な問題を持った登場人物がおり、それら個々の悩みや問題をすべてひっくるめて対照的な二つの家族が【家族小説】として描写されてゆく。両者も家族としての綻びを内に秘め日々を過ごすがやっぱり放っておいた綻びはいっきに傷がひらいて取り返しのつかない展開へと発展する。それをどう紡いでゆくのか?どう再生してゆくのか?も描かれていて、序盤の黒さに白を配色したような、少し明るい希望のあるラストへと向かい読後感もそこまで悪くない。

また、この作家さんは一目でわかるような独特の表現方法なんかはないが筆力はある。それぞれの人物が抱える心理描写が特に上手いと思うが、それ以外の部分でも不思議と読ませる力があるのだ。伊坂幸太郎は独特の筆致を持っているが、東野圭吾の筆致はそんなに特徴的ではない。湊かなえも巧者のようなタイプのリーダビリティの持主でありそういう意味ではもっと期待してもいいのかも。しかし、題材や先に書いた題材や展開においてはまだ物足りない部分が残るし、黒さに進むでもなく感動のラストで魅せるでもなく、物語でもミステリ的展開でも平凡な本作ではまだまだ物足りないというのも事実だ。できれば何かを極めるような、どす黒い人間の心理を抉り出して文章や行間にまで黒々しさが滲み出るような、そんな特徴的なものが欲しいとも思う。今のままでも一般受けはするだろうが、このまま一般路線を進むか何かを極めるように進むか、そういう面では楽しみでもうちょっと見ていたい作家さんではあるなと今回思うのであった。



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.06 2011 【本:エンターテイメント】 comment4 trackback0
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