スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
.-- -- スポンサー広告 comment(-) trackback(-)

桜庭一樹 『ファミリーポートレイト』

ファミリーポートレイト


恐るべき最高傑作!直木賞受賞後初の書き下ろし長編1000枚。あなたとは、この世の果てまでいっしょよ。呪いのように。親子、だもの。ママの名前は、マコ。マコの娘は、コマコ。すなわち、それがあたし。あなたの人生の脇役にふさわしい命名法。『赤朽葉家の伝説』『私の男』――集大成となる家族の肖像(ファミリーポートレイト)!  (BY BOOKデータベース)


桜庭さんの著作の中でもっとも長い原稿1000枚の大長編!!『ファミリーポートレイト』。それだけになかなかボリュームがありました。桜庭作品好きには嬉しい本ではないでしょうか。そしてもちろん桜庭さんが描く人物と言えば、言わずもがな。『私の男』から『ファミリーポートレイト』。なんだか桜庭さんのシフトぶりが気になってしまうかのような小説。

いつもの桜庭三部構成ではなく、今回は二部構成でした。三部構成だとばかり思っていたので、まずちょっと不意打ちをくらう。主人公はコマコ(駒子)。マコ(眞子)の子だからコマコという名前からして脇役に追いやられたような名を付けられている。そのコマコが語りもするのだが物語の始まりで語るコマコはなんと5歳である。その語りの文体とコマコの年齢に少し違和感があるのは否めないが、そこを突くのはやはりご法度なのだろうか^^。その語りで語られ描写される母・マコはとても弱くとても不幸で痛々しい。平穏を求め海辺の町や養豚場のある町など移住を繰り返すのだが、マコの人生はいつも不安定。<少女の周りの親しい大人はダメ大人>という過去の作品にもある多くの共通も入ってる。そこから少女から脱皮したりするのが定石だが、今回は大人になっても描かれていて、それが第二部。自堕落な高校生活を得て、コマコは文壇バーでアルバイトをする。バーでそういった業界の人々と交流した甲斐もあり、小説家デビューに到る。そこからも何波乱もありつつ、ラストに読者それぞれの受け取り方によって一悶着ありそうな家族の肖像だった。

雰囲気はとっても陰鬱で、特に一部は陰鬱意外なく光は射さない。だがコマコはマコの所有物と化して傍からみればかわいそうな境遇だろうが、コマコ自身は不幸でもなんでもない。むしろコマコと一緒にいられるなら、どんなめに合ってもかまわないくらいコマコへの無償の愛を感じる。子供は親を裏切らないし、裏切れもしないのだろう。こういうところがまさしく二人だけのモノという意味で、ファミリーポートレイトなのだ。二部のコマコのほとんどもまだ脱皮の過程のように思ったが、ちょっと私小説っぽい要素もあった気がする。フィクションだというのはわかってるけれど、物語の為に著者自身が身を削ってまで書いたかのような迫力があった。そして、このコマコは小さな頃から読書好きだ。『ぐりとぐら』『変身』『マクベス』その他多彩なタイトルが目白押し。コマコの読書遍歴がとても知りたくなり、桜庭さんが創造するのがしっくりくる登場人物だった。

文体はとてもじゃないがラノベの頃と同じ作者とは思えないほど変貌している。著作を出版順に追うとよくわかるけど、ものすごく文学系へとシフトてる。このままこの路線で行ってしまうのだろうか?内容も最近のここ二作の桜庭作品にはどよ~んと雰囲気はあるが、切なさが少しずつ欠けてきたように感じる。しかし、ここには今までにない少女から大人への成長の軌跡を描けるようになってまた一つ壁を越えた桜庭一樹がいる。桜庭作品で一番のお気に入りは?と聞かれると本書です!という自信はないが、今まで到達しえなかった地点にこの作品で辿り着いた重要な作品であるのは間違いないと思います^^

フィクションだが私小説っぽく、語りは散文的な大長編。内容を本というオブラートに包んだのではなく、春巻きの皮でちょっと厚めに包んで投影して見せたような。でも、桜庭好きは騙せない!これはマコとコマコのポートレイトであったのと同時に、桜庭一樹(裏)ポートレイトでもあったのだと思えてならない^^


3.5 なむなむ!

↓参加しております^^

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
人気ブログランキングへ
関連記事
スポンサーサイト
.01 2010 【本:言語芸術】 comment0 trackback0

comment

post comment

  • comment
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackback

trackbackURL:http://kurogokegumo.blog135.fc2.com/tb.php/104-554ce8a8

プロフィール

チルネコ

Author:チルネコ
読書をライフワークとしております。読むジャンルは本のジャンルは基本的に小説です。特に文学、ミステリ、SFを好み。何かお薦め本があればご指南ください。リンク・コメント・TBも大歓迎ですのでどうぞよしなに^^

カレンダー

<< 06
2017
>>
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

訪問者数

ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へ

書評サイトさん

読書&鑑賞メーター&音楽メーター

チルネコさんの読書メーター チルネコさんの読書メーター チルネコの最近読んだ本 チルネコさんの鑑賞メーター チルネコの最近観たビデオ
http://ongakumeter.com/u/1347

MY リンク

ブログ内検索+用語検索

ブロとも申請フォーム

ブロとも一覧

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。