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ジョー・ヒル 『20世紀の幽霊たち』

20世紀の幽霊たち


奇妙な噂がささやかれる映画館があった。隣に座ったのは、体をのけぞらせ、ぎょろりと目を剥いて血まみれになった“あの女”だった。四年前『オズの魔法使い』上映中に一九歳の少女を襲った出来事とは!?(『二十世紀の幽霊』)そのほか、ある朝突然昆虫に変身する男を描く『蝗の歌をきくがよい』、段ボールでつくられた精密な要塞に迷い込まされる怪異を描く『自発的入院』など…。デビュー作ながら驚異の才能を見せつけて評論家の激賞を浴び、ブラム・ストーカー賞、英国幻想文学大賞、国際ホラー作家協会賞の三冠を受賞した怪奇幻想短篇小説集。   (BY 本書背表紙文小学館文庫)


一度は図書館で借りたにもかかわらずその長さと他の図書館本との折り合いが付かず未読のまま返却してしまってた『20世紀の幽霊たち』。「これではいつ読めるかわからん!」とばかりに古本を見つけ購入。満を持して読書に取り掛かりましたが、う~ん噂通り期待通りの短篇群を見せ付けてくれたのです。というか予想以上に気に入ったり胸中に深く切り込まれた短篇もあり、ジョー・ヒルの登場は僕の中ではやんごとなき事態となってしまった。

キングの息子だからホラー系統の色も強いのかな?とか思ったりもしましたし、実際その傾向も多分に含まれいたけど、ホラー作家というくくりだけで語るにはあまりにも豊富なジャンルの短篇がここにはありすぎる。「蝗の歌をきくがよい」なんかはカフカやカミュの<不条理>感を踏襲しているし、文学的な匂いも潜んでいる。カミュとはまた種類が違うけどカフカの『変身』のザムザと同等の始まりで「むむっ」とカフカを意識するのだが、だんだん脳にツンとくるようなグロさを見せつけこの短篇の本性を現すというジョー・ヒルの気の利いたアイディアとプロットを発見できるのである。「ポップ・アート」なんぞもこの不条理系なのだけど、なんとこの作品は風船と人間の共存というファンタジックな設定でもある。空想物語なのだけどその実不条理世界でもあったピリリと涙を流してしまいそうになるラストを読んだところでただの不条理系の枠だけでは収まりきらないのだ。というかそもそもジャンル分けなんか不必要と言われればそれが正解なのかも知れないけれど(苦笑)

そもそもこの短編集には全18篇(でいいのかな)が収められているんだけど、ものすごくみじかいものから中篇と呼べるもの、ジャンル的にもホラー、幻想、怪奇、寄りの作品が多い。「二十世紀の幽霊」はまんま幽霊が出てくるのだが、回想シーンや名作映画(ジョー・ヒルが好きそうな)を絡ませつつの着地は18の短篇の中でも際立ったストーリーテリングぶりを感じた。「年間ホラー傑作選」からはガジェットからしてやっぱホラー作家なのかな~という匂いがプンプンしたし、「アブラハムの息子たち」は終盤の恐怖ネタを最後でも上手くいかしてて恐怖感が倍増させられた気が。「ボビー・コンロイ、死者の国より帰る」なんかはホラー映画やホラーマニアの方には眉唾物の設定ではないのだろうか。いや、むしろ逆なのかな?なにせあのジョージ・ロメロの『ゾンビ』を収録しているという舞台設定なのだ。「みんな、やりなおしたがっているんです。」という収束のラストが絶妙な筆致だった。でも、「黒電話」の削除部分は僕はいらなかったなぁ~と思う。

そしてちょっとした楽しみに様々な作家の名が作中に出てきてて、それを探し当て興味を持たされたりするのも読んでて楽しい。未読の作品などはメモメモしてしまった自分がなんともかわいらしい。と思いたい。マラマッド、ブラッドベリ、アシモフ、フィニイ、ジャクスン、キング、レンデル、ポー、ダール、などなど僕の今後の読書生活の充実に貢献してくれる嬉しい記述なので楽しみの一つなのだ。

ジョー・ヒルが父親がキングだと隠していたのを配慮すると、キング作品との比較はあえてしないでおこうと思う。それに別に比較しなくてもジョー・ヒルの作品は素晴らしいのがこれを読んでわかってしまったからさー。



4.4 なむなむ!


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