スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
.-- -- スポンサー広告 comment(-) trackback(-)

テッド・チャン 『あなたの人生の物語』

あなたの人生の物語


地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当した言語学者ルイーズは、まったく異なる言語を理解するにつれ、驚くべき運命にまきこまれていく…ネビュラ賞を受賞した感動の表題作はじめ、天使の降臨とともにもたらされる災厄と奇跡を描くヒューゴー賞受賞作「地獄とは神の不在なり」、天まで届く塔を建設する驚天動地の物語―ネビュラ賞を受賞したデビュー作「バビロンの塔」ほか、本邦初訳を含む八篇を収録する傑作集。    BY 背表紙紹介文 (ハヤカワ文庫SF)


テッド・チャンはアメリカ生まれの米SF作家で、ご覧の通り中国系アメリカ人。SFを読み進めているとチラホラと名前を目にするくらいの認知度で、SF読み以外にはあまり馴染みのない作家だが、日本でもその実力は周知の認めるところであり評価も高い。それなのに知名度が薄いのはどうやら寡作な作家らしく、本書が出版時までに発表されているチャンの短編集をすべて集めて一冊に収録できちゃうくらい作品数は乏しい。それにも関わらず本書に収められている8つの短編はネビュラ賞、ヒューゴー賞、ローカス賞、アシモフ読者賞、スタージョン賞、キャンベル賞、ティプトリー賞、世界文学幻想大賞、など誉れ高い数々の賞にノミネート、または受賞されちゃっておるんです。賞がすべてではないけれど、収録作の数よりも賞のノミネートや受賞の数の方が上回るなんてのは稀で見過ごすわけにはいかないSF作家と言えるでしょう。

全8篇と作者の覚書が収められているんだけど、どれも冗長にならずにワンアイディアを一気に読ませてくれ、短編という形式に見事に適合し飽きなどはまったく訪れない。もちろんSFなんだけれど、SF用語などはほぼ皆無でSFに苦手意識がある方でももしかしたら読めてしまうのではないでしょうか。しかし、曲者なのが〔宗教〕などを作品に匂わしており、僕のような無心論者には警戒心を持たせてしまう。でも、〔神〕や一方的な〔思想〕などは記述されておらず、鼻につくほどではなかったので大丈夫。そして圧巻は作者の想像したイメージがそのままこちらに伝染してしまう丁寧な描写とエッセンス、ワンアイディアで突き抜ける作風。文学的な香りもほのかに漂うが、チャンの技法はSF的手法で書かれていて、一見ファンタジーっぽい作品もまた誠なSFの姿を魅せてくれてます。

収録作の内容も多彩でヒューマンサイエンスを筆頭に<バビロンの塔>の建築過程やその方法を記したバビロニアSF、数学SFやらファーストコンタクトものであり言語学を盛り込んだ表題作などその種類は豊富で一作ダメだったからといって他も全部合わないというものではない。逆に一作相性がよくても、他がダメということも在り得ちゃう^^。中でも僕の中で評価が高かったのは「バビロンの塔」。古代バビロニアでの<バビロンの塔>の建築過程を描いている作品だけど、建築のアイディに感心し、塔の下から夜が訪れてくるという描写にゾゾッっと神秘的な感覚を得たりできる。そして最終的にはこの世界観の変容を迫られるのだが、この変貌がまさにセンス・オブ・ワンダーで本書の中では一番ワンダフルな作品になった。「理解」も『地球の長い午後』ほどではないにしろアイディアも特異で、一風変わったアプローチで〔人類科学〕を表現されていて面白いし、「顔の美醜について」も<美醜失認措置>という美人・ブスという概念を消失させる装置を用いて、これまた奇抜なワンアイディアで書き抜かれている。物語の展開的には驚くほどのものもないけど、ドキュメンタリータッチで描かれてゆく様に現実と科学の間に揺れ動かされてしまった。他にもオモチロイアイディアものがあり短編の名手と読んでもなんら違和感もないけれど、できることならば〔寡作〕の改革と〔長編への着手〕を強く望みたい^^



3.9 なむなむ!


↓参加しております^^

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
人気ブログランキングへ
関連記事
スポンサーサイト
.10 2010 【本:言語芸術】 comment0 trackback0

comment

post comment

  • comment
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackback

trackbackURL:http://kurogokegumo.blog135.fc2.com/tb.php/117-3e91687a

プロフィール

チルネコ

Author:チルネコ
読書をライフワークとしております。読むジャンルは本のジャンルは基本的に小説です。特に文学、ミステリ、SFを好み。何かお薦め本があればご指南ください。リンク・コメント・TBも大歓迎ですのでどうぞよしなに^^

カレンダー

<< 06
2017
>>
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

訪問者数

ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へ

書評サイトさん

読書&鑑賞メーター&音楽メーター

チルネコさんの読書メーター チルネコさんの読書メーター チルネコの最近読んだ本 チルネコさんの鑑賞メーター チルネコの最近観たビデオ
http://ongakumeter.com/u/1347

MY リンク

ブログ内検索+用語検索

ブロとも申請フォーム

ブロとも一覧

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。