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横溝正史 『本陣殺人事件』

本陣殺人事件


一柳家の当主賢蔵の婚礼をおえた深夜、人びとは、恐ろしい人の悲鳴と琴の音を聞いた。離れの座敷の新床の上に、血まみれになって倒れた新郎新婦。その枕元には、家宝の名琴「おしどり」と三本指の血痕の残る金屏風があった。・・・・・・宿場本陣の旧家に起こった、雪の夜の惨劇を描いて、密室トリックに挑戦する表題作ほか、『車井戸はなぜ軋る』『黒猫亭事件』の二編を併せ収める。  (BY BOOKデータベース 角川文庫)


金田一耕介が初めてお目見えした作品が本書『本陣殺人事件』である。残念ながらものすごくおもしろいしトリックも明かされて初めて知る本格そのものの驚きをくれるのである。前文の残念というのは、今まで読んでこなかったこと自分に対しての残念である^^。もちろん貪るように一気に読んだ。

本書には「本陣殺人事件」「車井戸はなぜ軋る」「黒猫亭事件」の三作が収められている。もちろんどれもこれも金田一耕介は登場する。ぼろぼろの着物にヨレヨレの袴、あげくに頭の上で雀の巣を飼っているようなもじゃもじゃの髪の毛。それが何食わぬ顔をしてひょうひょうと登場するのだが、その容姿に関わらず彼があっけらかんと登場する時のあのシビレル感じがたらない。そこから突然驚く姿やどもったりもじゃもじゃ頭を掻き乱したりととても起伏と動きがあり、クールで衒学的な探偵よりも愛着を持ってしまう。このもっさりとした探偵が多くの人に愛されるのがよーくわかった。他にも本書には探偵小説には「密室殺人」「一人二役」「顔のない死体」の三つのテーマが存在することや密室とは?という提示をし正史論を展開するという、正史のエクリチュールに関する記述も見受けられて本格という大まかな骨組みを教えてくれる。それに加えて本書を読んでいるだけで本格の指南書としても役に立つくらでA.A.ミルン『赤い家の秘密』ルブラン『黄色の家』カー『帽子蒐集狂の秘密』ダイン『カナリア殺人事件』スカーレット『エンジェル家の殺人』。などの作品から江戸川乱歩、小酒井不木、甲賀三郎、木下宇陀児、木々高太郎、海野十三、小栗虫太郎、エラリー・クイーン、クロフツ、クリスチーなど層々たる面々の名がお目見えし、脳内読むべきリストがガーンと跳ね上がってしまったのだった。








以下↓ネタバレ気味なのでご了承ください^^








まず「本陣殺人事件」であるが、物語の語りは作者が人伝いに聞いた話を纏めたという形式をとっている。一柳という一族の屋敷での密室殺人である。と初めはおもったがなんのその。まったくもって騙されてしまう。というか大概が騙されるハズである。誰もが三つ指の男の仕業かと思うのだが、ああいう結末なのである。少し僕の創造力と理解力の不足で屏風に刀を繋いでシュシューとやる機械トリックがイマイチ頭で描ききれなかったが、その道筋と風采に似合わない華麗なトリック崩しには大いに驚きと感嘆に値する。作中に怪奇も含まれるがこれはミスディレクションとしてとても重要であるし、死角なし。

「黒猫亭殺人事件」はDNA鑑定が跋扈する現代では滅んでしまった<顔のない死体>がテーマで、「一人二役」を用いたトリックであった。が、正史はここまで提示しておいて読者の裏をかくのである。なんと人を食ったかのような確信犯!って本格だから当たり前か^^。「一人二役」と同時に畳に血が残されていた事、なぜ黒猫が葬られていたのかが謎を解くカギとなっていて伏線は二転三転と張られているのである。この決して長くはない作品にこれだけ惜しげもなく挑戦を挑んでくる正史の楽しんでいる姿が目に浮かんでくるようだ。









ネタバレ終了^^








僕の中の正史プレリュードはやっとこさ終わりを告げたようだ。作品の好き嫌いは別にしてもこの作品のスゴさがわからない人は、そもそも本格の持つ閃きの魅力を理解できまい!とまで言い切ってしまえるほどの傑作だった。もし僕のように横溝を知らない方がいたならばスグに読むべきだ。胸を張ってオススメできる。だって、横溝を通過してない者にとって、横溝とは斬新と本格そのものであるからだ!



4.6 なむなむ!



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.07 2011 【本:言語芸術】 comment2 trackback0

comment

おお~っと、いきなりのジャケ画にビックリです。
映画やTVではよく見ましたが、オリジナルの小説は未読です。
かな~り面白そう!
映像ではお馴染みの、あの、独特の雰囲気も小説でも健在なのかなあ?
いずれ挑戦したい!!
2011.02.07 19:50
チルネコ

>惺さん

正史の角川文庫の装丁画は全部強烈ですよね!装丁手がけてた杉本さんのグッジョブでしょうか^^でも本書の装丁はまだ怖くないほうでしょう(笑)
僕は逆にTVまったく観れてないんですよ~^^;ごろおちゃんのすら観てないという・・・でも小説のおどろおどろしさは映像でも同じような雰囲気のようですよ。それに、正史の本領はこの怪奇と共に、探偵小説としての伏線の妙やトリックの秀逸さに真価があるので、絶対読んで損はないです^^僕は乱歩より正史派になっちゃってますw
2011.02.08 08:24

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