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D・M・ディヴァイン 『五番目のコード』  訳 : 野中千恵子

五番目のコード


スコットランドの地方都市で、帰宅途中の女性教師が何者かに襲われ、殺されかけた。この件を発端に、街では連続して殺人が起こる。現場に残された棺のカードの意味とは?新聞記者ビールドは、警察から事件への関与を疑われながらも犯人を追う。街を震撼させる謎の絞殺魔の正体と恐るべき真意とは―読者を驚きの真相へと導く、英国本格の巧者ディヴァインの屈指の傑作が甦る。   (BY BOOKデータベース 創元推理文庫)


本が好き!』からの献本です。


「八人がわたしの手にかかって死ぬだろう。」という宣戦布告ともとれる印象的な告白文で始まり、サスペンスとして何かやってくれそうな幕開けに期待せずにはいられない出だしである。本書はミステリだが倒叙ものでもないので犯人はスグにはわからないが、なぜこんな告白が読めてしまうのか?というと、まだ見ぬ犯人が手記を書いているから。この手記が一定の割合で物語に挿入されていくのだが、犯人はこれが誰かに読まれる前提で書いているということに注目してほしい。もちろん、読まれるというのは捕まってからではなく、犯罪心理でよくあるような自己陶酔から、誰かに自分の成したことを知ってもらいたいが為に筆を進めているのだからすでに常軌を逸した人物だといわざる終えない。それがサスペンス味を助長してくれてもいる。また、本書はフーダニットなんだけど、この日記が少なからず読者をかき回すことは間違いないく作者の目論みはなかなかにくらしい。

先にフーダニットと書いたが、それと同時にミッシングリンクものでもある。被害者の傍にはいつも〔八つの取って(コード)がついた棺の絵のカード〕が添えられているのだが、これが何を意味するのか?そしてタイトルとどう関連付けられるのか?という読み方をしても面白いと思う。犯人を追うのはもちろん警察なのだけど、素人探偵でもなんでもないただの新聞記者である主人公も事件に少なからず巻き込まれて犯人を追うのだ。もちろんこの主人公を追って読むのも楽しいのだけど、僕としてはあまりお薦めできない(苦笑)なぜならこの主人公の人物造詣には共感する箇所や好感の持てる箇所があまりないのだ。すぐに頭に血が登ったかと思うと、へこんで酒びたりになったり自暴自棄になったりするのだ。もちろん誰にでもそういう側面はあるけど、感情の起伏が豊かというより激しすぎて30後半にもなって大人になりきれない主人公を好きになれなかった。

だがしっかり読んでいるとそれなりの成果はあるから心配する必要はない。登場人物はそれなりに限定されてるし、伏線もちゃんとある。決してアンフェアな作品ではないからフーダニットものとして犯人当てに興じることも可能なのだが、ミスディレクションもそれなりに巧みなので簡単には当てれないだろう。だけど僕はわかってしまいました、犯人(笑)しっかりと伏線を処理して当てたわけではないけど、あてずっぽうでもない。中盤まで読んだ状況証拠から「ははぁ~ん、ヤツだな?」と思ってた人物がそのまま当たったにすぎないが(^^;)、難解すぎず安易すぎずの犯人当てに興じることができて置いてけぼりを食わず満足だった^^

ただしイマイチ物足りなかった部分もあるにはあって、サスペンスとしての醍醐味が足りないと思ったし、英国本格特有の馥郁たる香なるものが欠落しているのが残念だ。フーダニットとしての面白味や愉しみは読んでて得られるのだが、明かされたときのカタルシスも微だし動機という点でも弱い。それに加えてラストの主人公とエレンの今後もしっくりこない(苦笑)今まであれだけ頑なだったのに急にそーなっちゃうかなぁ?・・・・・・と^^;


フーダニットとしては求めていた水準に届くものをもらったけど、ミステリと同じくらい比重を置いていた主人公の描写の部分、そしてサスペンス的な緊迫感は平凡だったという読後感。気高き英国本格としては佳作という水準に留まる作品だと思う。



3.4 なむなむ!


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.15 2011 【本:どんでん返し/名推理】 comment8 trackback1

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道楽猫
ふむふむ。
実はこれ。私も応募してたんだけど、見事ハズレちゃったんですよ(笑)。
最近ちゃんとしたミステリーを読んでないなぁと思って応募したんですけど。
人物描写としてはイマイチっぽいけど、ミステリーとしては面白そうですね。
参考にさせていただきます!
2011.02.16 07:50
チルネコ

>道楽猫さん

そうだったんですかー。代わりにいただいちゃいました^^;;これはフーダニットとしてはなかなか読み応えありましたよ~。人物描写はイマイチではあったのですが、この主人公が好きになれなかったのが一番でしょうか(苦笑)
2011.02.16 23:08
くう
翻訳物ですか。
そういえば、翻訳物ってあんまり読んだことないですね。

最近あんまり小説読めてないし、
あぁ! 何か読みたい!
2011.02.16 23:41
風竜胆
私もこの本献本してもらいました。
やっと読みましたので、近々レビューをアップしたいと思います。
2011.02.19 12:50
チルネコ

>くうさん

お返事おくれて申し訳ないです^^;

翻訳もちょくちょく読んでおります。ちょっと読みにくさがあるという方もいますが、慣れれば全く問題ないです^^それに世界中に傑作が溢れてますからね~♪

何か読まれてるのでしょうか?面白い本発見したらぜひ教えてくださいね!w
2011.02.19 22:23
チルネコ

>風竜胆さん

おぉ~同じ献本でしたか^^あまり僕の中では満足のいく作品ではなかったんですが(^^;)、風竜胆さんのご感想がどうなのか楽しみに待ってますね^^
2011.02.19 22:25
風竜胆
やっとレビュー書きました。
それにしても、我が家の積読の山がいっこうに低くなりません。
いや、むしろ高くなっているかも・・・
2011.02.21 19:05
チルネコ

>風竜胆さん

お返事遅れて申し訳ないです^^;
レビュー拝見させていただきます^^
積読の山は高くなるのは読書好きの運命ですよね(笑)僕もかってばかりで本棚がもうないです^^;;
2011.02.25 00:00

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 「八人がわたしの手にかかって死ぬだろう」  不気味な言葉の記された日記から始まる「五番目のコード」(D・M・ディヴァイン/野中千恵子:東京創元社)。この言葉通り、ます、 ...

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