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今村仁司 『貨幣とは何だろうか』

貨幣とは何だろうか


貨幣を経済学の封じこめから解き放ち、人間の根源的なあり方の条件から光をあてて考察する貨幣の社会哲学。世界の名作を“貨幣小説”として読むなど冒険的試みに満ちたスリリングな論考。貨幣を人間関係の結晶化と見、自由と秩序をつくりだす媒介者としての重要性を説く。貨幣なき空間は死とカオスと暴力の世界に変貌するからだ。貨幣への新たな視線を獲得することを学ぶための必読の書。   (BY BOOKデータベース  ちくま新書)


今一番僕自身が興味を持ってると言っても過言でない分野が経済学である。その中でも特に知りたいことはというと、経済とは切っても切れない〔貨幣〕について。一口に〔貨幣〕といっても紙幣や硬貨から手形や債権や株なども、言って見れば広義の意味では貨幣である。〔貨幣〕は経済学を学ぶ上での早い段階で知っておかねばならない命題のようなもの。故に経済とは切っても切れない〔貨幣〕本を手に取ったわけなのだが、これがちょっと毛色が違ったのだ(苦笑)嫌、別に本書がおそまつだとか言うのではなくて、僕の狙った的とはちと外れた場所に白羽の矢が刺さっちゃったようなのだ。

なぜかというと、これは「経済学の貨幣論」ではなく、「社会哲学的貨幣論」だったのだ。何がどう違うのかというと、まず「経済学の貨幣論」というのは交換や市場での貨幣、すなわち貨幣の機能的な面で扱われるのが経済学での貨幣論。一方「社会哲学的貨幣論」というのは、貨幣の機能を記号論的に捉えるのではなく、貨幣の存在そのものから〔存在論〕としての貨幣を語ろうとしてるのである。なので、手にとって趣旨とは全く違ってくるのだ。しかし、これもまた興味深い貨幣論であるのは間違いなく、そのまま読んでしまった。

従来の貨幣論というのは貨幣を機能的に捉えることしかしない貨幣道具論止まりであり、このような素材の面でのみピックアップしても貨幣の本質は捉えられないと著者は言う。そうではなくて著者は「貨幣は形式としての貨幣」、貨幣形式が重要であると述べそこには〔死〕の概念をまとっているというのである。そんなこと言われてもイマイチピンとはこないだろうが、本書の中にはそれに関する記述はしっかりとある。例えば、マオリ族のマルセル・モースが贈与行為を行うとき、その贈与財には「死」が前提の行為だというのだ。確かにここはそのまま納得できる。しかし、納得できな部分があり、それは「貨幣は人間存在の根本条件である死の観念から発生する」という記述である。これが全編に流れる著者のエッセンスなのだが、これは「死」と「貨幣」を直結しすぎだと思えてならない。

この著作を読んだ松岡正剛も「「死の観念」がなかったとはいえない」とは述べてはいるが、「死の観念から発生する」とはやはり違う。ジンメル『貨幣の哲学』などを用いて俯瞰したりしているが、著者の論理には納得できることは到底できないというのが正直なところ。もちろん、それは僕が未熟で知識が乏しく、理解力不足というのもあなきにしもあらずだ。また、本書の物言いも難解でわかりずらく初心者が十分に咀嚼し飲み下せるレベルの本ではないようでもある。だが、この著者の「死」と「貨幣」の突拍子もない手の繋ぎ方には無理があるというのは、しっかりと向き合って読めばわかると思う。いろんな著名人の著作を引用して面白い部分もあったが、肝心の箇所は当てが外れたという印象だ。

しかし、お薦めもあって、それが三章・四章でゲーテ『親和力』とジッド『贋金つくり』という二つの「貨幣小説」を用いての貨幣の存在解説の部分。ここで「貨幣小説とは、人間世界を媒介し、関係の安定と秩序あるいは道徳と掟の世界をつくりだす媒介形式を主題とする」など、貨幣は犠牲の代理だと言っていたりもして、ここはモチーフといい論証といい一読、二読の価値があると思えるほど読み応えがあった。最終章では「エクリチュール的関係」までに踏み込んで文字と貨幣を対比してるが、ここもいきつく先は「死」への観念であるから、興味があれば読んでみてもいいのではと思う。

この著者の貨幣と死の結び付け方には難があるといった読後感だが、いかんせん僕が専門家でもなんでもないからそれは興味を持てば各々で確認してもらいたいと思う。だが、著者が捉えようとした貨幣形式の捉え方は嫌いではない。初めにも書いたが当初はただ経済学の貨幣を知ろうとして手に取った僕だが、こういう角度からも貨幣というのはアプローチがなされているんだと知れたのは豊作なんだと思うことにする(笑)そして、〔貨幣〕というのはそれ一つでかくも奥が深い存在なのだとちょっとした衝撃も残った。



3.9 なむなむ!



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.23 2011 【本:社会派/社会】 comment3 trackback0

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読書系女子
>貨幣なき空間は死とカオスと暴力の世界に変貌するからだ。

うーむ…。
現在の銀行券が支配する世界も暴力がモノを言う世界だと思うのですがねぇ・・・・・・・・

貨幣とはさまざまなアプローチがあるものなんですね。

もう少し平和で公正な貨幣が登場すると、みんながそこそこ幸せになれるんだろうなぁ。。。っていうのは、哲学じゃなくてやっぱり経済学かな。
2011.03.23 08:39
チルネコ

>読書系女子さん

銀行券での世界で暴力がものをいうというのは少し違う気がします。オイルマネーとかももとは石油で代替価値としての貨幣ですから、経済学としての機能的な貨幣は直接的に貨幣=暴力ではないかも知れません^^。まぁカオスというのは貨幣があってもなくても同じだと思われますが(苦笑)

貨幣廃棄論も叫ばれてはすべて失敗に終わってますし、平和な貨幣というのは困難だけれどもいつかできるのでしょうか。。。

2011.03.23 23:41
チルネコ

>内緒さん

ありがとうございます。スティグリッツは今僕が学んでる『入門経済学』の著者なので、この記事は耽読してしまいました^^そのスティグリッツのおかげかどうかはわかりませんが、大体言ってること理解できました。やはりリチャード・A・ヴェルナーの論と似たような感じで、日銀だけじゃダメっぽいですね。ユーロがいい例ですが、地域通貨を発行するにもいろいろ壁がありそうですね^^;;こりゃ日本単位でよりも、アジア単位での改革が必要?(苦笑)でもそうなるとまず元が・・・・・。日本独自の独創的な発想を経済学者が打ち出してくれないかなぁ^^。
2011.03.25 22:02

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