スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
.-- -- スポンサー広告 comment(-) trackback(-)

島田荘司 『写楽 閉じた国の幻』

写楽


わずか十ヶ月間の活躍、突然の消息不明。写楽を知る同時代の絵師、板元の不可解な沈黙。錯綜する諸説、乱立する矛盾。歴史の点と線をつなぎ浮上する謎の言葉「命須照」、見過ごされてきた「日記」、辿りついた古びた墓石。史実と虚構のモザイクが完成する時、美術史上最大の迷宮事件の「真犯人」が姿を現す。   (BY BOOKデータベース   2010.6.20 新潮社 )


謎というものは人を惹きつけてやまない蠱惑的な存在だ。邪馬台国の謎や大きく捉えるとミステリも謎あっての存在である。本書の写楽もまた長年国内に留まらず研究者たちを悩ませてきた謎なのである。10ヶ月あまりで普通の絵師では考えられないほどの作品を世に出し、突然ふつっと姿を消してしまう。その為別人説や大物説など多くの憶測を呼んでいるのだが、どれも確証がなく登場する経緯も姿を消した後の消息も今では謎となってしまっている。写楽という人物自体が謎そのものということだが、これは格好のミステリの題材ではないだろうか。それをあの島荘が20年という歳月をかけて構想し探求しミステリ小説として誕生させたのだから、一介の読者といえど興味を持てないわけがなかった(笑)

タイトルが『写楽』といっても時代ものではなく、語られるのは現代が舞台だ(中盤過去と現代を入り混ぜて語られる箇所もある)。何もかも上手くゆかない上にエレベーター事故で息子を失い、落ちに落ちてしまった主人公。この人物が実は写楽の研究家で過去に一冊本も著していて、人生のどん底を味わいつつも偶然見つけた絵を通じて写楽という謎の真相解明へと進んでゆく。これが600P強という大作にて描かれていて、島荘の中でもかなりの力作だと思う。ストーリーの構成やきっちり論理立てた上でのどんでん返しは賞賛を送らずには入られないだろう。

何が一番面白いのかというと、やはり「写楽」は一体全体誰だったのか?という謎に対する、作者の奇抜なアンサーにある。恥ずかしながら「写楽」についての本を多く読んでいるわけではないので、この写楽の真相が奇抜だと声たからかには言えない。が、これが思いもよらない着眼点から導かれたのだと確信することは、本書の記述や島荘自身によるあとがきによって理解できる。思えばエレベーター問題の箇所からして日本というか日本人を批判的に描いていたが、テーマも一応一貫してるとも言えるのではないだろうか(笑)歳月をかけた集めた資料と熟考したであろう個性的な論証。ミステリとしてかなりの力作で、このミス2位も異論なく納得でき、歴史ミステリとして投じた一石はかなり大きいのではないだろうか。さすが島荘^^

だが、語るべきものが多すぎて整理できなかったのか、ここまで大作になってしまうようなストーリーでもなかったような気はする。加えて女教授は一体何者だったのか?とか主人公はこの後どうなるのかなどなど、未解決問題も多くの残したまま終わってしまった感は拭えない。まぁこの部分はあとがきで自身も指摘されていて、この続編の題材も構想ももうネタはあっていつか書くというような事まで言及されていたので、ここは次回のお楽しみにとっておこうと思う。また現代と江戸が交互に語られる箇所もあるのだが、ここが綺麗にリンクして語られていなくて、別段こういう語り方する必要もなかったのではと思ってしまったが、、、、。


思えば西洋絵画にはそれなりに著作も読んだり作品も観て触れていたが、「浮世絵」に関しては西洋絵画に反比例するように接してきてない自分がいたことに読んでいて気づきました。本書のエッセンスの一つである「日本人は日本のあれこれを軽視しすぎだ」というようなものが、グサッともろに刺さってきました(苦笑)そんな僕でも本書を読んでしまうと、浮世絵や絵師、歌舞伎などにも興味を持ってしまうほどそちらの方面の魅力も詰まっている。北斎や歌麿や一九。名前は知っていれど深くは知らない絵師たちだが、日本にも素晴らしい絵描きがいて、近すぎて見えなくなってしまっては勿体無いなと思っちゃう。浮世絵にも興味が持てたので今後こっち関係の本も読んでゆきたい。



4.2 なむなむ!



にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
人気ブログランキングへ
関連記事
スポンサーサイト
.22 2011 【本:エンターテイメント】 comment8 trackback0

comment

漢検2級絶対合格サイト管理人
はじめまして。
「漢字検定2級 問題集 絶対合格サイト」管理人です。
当サイトは漢検2級情報や予想問題を掲載するサイトです。
突然のメール失礼致します。
ブログを拝見しまして大変勉強になりました。
そこでご提案なのですが当サイトと相互リンクを貼りませんか?
より多くのユーザーにサイトを見てもらえると思います。
ご検討宜しくお願いします。
http://kanken2kyu.jimdo.com/
2011.05.22 07:26
道楽猫
なんかものすごく面白そう!
島田荘司ってなんか固そうって感じで敬遠していたんですが(これもタイトルが難しそう…(笑))なんだかとても興味そそられました。
いやぁ、チルネコさんには(モリミーとか)色々面白そうなものを教えていただいて感謝感謝です!
2011.05.22 08:14
風竜胆
写楽って、本当に謎の多い人物ですよね。北森鴻の作品にも、短編集ですが「写楽・考」というのがありました。こちらもなかなか面白かったです。
2011.05.22 09:30
チルネコ
>漢検2級絶対合格サイト管理人さん

初めましてこんばんわ。コメントありがとうございます^^
ブログ記事を読んでくださって感謝です。
リンクのお申し出も嬉しく思いますが、
当ブログはほぼ読書一辺倒なのですが、それでも
よろしいでしょうか?
よろしければリンクさせてくださいませ^^
2011.05.22 22:27
チルネコ
>道楽猫さん

これは面白かったですよー^^島荘にしてはそこまでのリーダビリティはないのですが、それでもミステリとしてのしかけや作者の論証はさすがと言わざる終えませんでした^^
この上ない嬉しいお言葉ありがとうございます!ブログ冥利につきます^^笑
2011.05.22 22:29
チルネコ
>風竜胆さん

謎多いですよねー。当時の資料もあまりないようですし、海外流出も多いみたいですからねー。でも魅力的な謎ですね^^
「写楽・考」というのもあるんですね!この作者さんもミステリ系(?)のようなので、面白い解釈してるっぽいですね。チェックしておきます^^
2011.05.22 22:32
漢検2級絶対合格サイト管理人
お返事ありがとうございます。
当サイトへの来訪者には読書関係のニーズが
高いと思っています。
早速リンク集に加えさせていただきますので
是非相互リンク宜しくお願い致しますv-14
2011.05.23 18:39
チルネコ
>漢検2級絶対合格サイト管理人さん

読書ブログ系の方ともリンクされてるんですねー。
僕自身あまり漢字が得意というわけではないので、勉強させていただきます^^。
リンクありがとうございます。こちらからもリンクさせていただきます^^
2011.05.24 01:48

post comment

  • comment
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackback

trackbackURL:http://kurogokegumo.blog135.fc2.com/tb.php/175-2aa32376

プロフィール

チルネコ

Author:チルネコ
読書をライフワークとしております。読むジャンルは本のジャンルは基本的に小説です。特に文学、ミステリ、SFを好み。何かお薦め本があればご指南ください。リンク・コメント・TBも大歓迎ですのでどうぞよしなに^^

カレンダー

<< 03
2017
>>
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

訪問者数

ブログランキング

ブログランキング・にほんブログ村へ

書評サイトさん

読書&鑑賞メーター&音楽メーター

チルネコさんの読書メーター チルネコさんの読書メーター チルネコの最近読んだ本 チルネコさんの鑑賞メーター チルネコの最近観たビデオ
http://ongakumeter.com/u/1347

MY リンク

ブログ内検索+用語検索

ブロとも申請フォーム

ブロとも一覧

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。