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『アメリカン・スナイパー』 クリント・イーストウッド


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監督 クリント・イーストウッド
出演 ブラッドリー・クーパー(クリス・カイル)
   シエナ・ミラー    (タヤ・カイル)
   ルーク・グライム   (マーク・リー)
   ジェイク・マクドーマ (ビグルス)
   ケヴィン・レイス   (ドーバー)



2001年に起こったアメリカ同時多発テロの映像を目の当たりにして、祖国の人々を守るために貢献したいと考えたクリス・カイルは、軍隊に志願しネイビーシールズのエリート狙撃手としてイラク戦線で奮闘する、という実話を元にした映像作品のようである。故に戦争を描いているのであるが、「イラク戦線で大活躍する」と書いたように、狙撃手として実に160人もの人間を撃ちぬいたクリス・カイルを主人公とし、戦争の外面と彼の内面を描いてゆく。彼は現役ながら〔レジェンド〕と呼ばれるほど凄腕でその狙撃のシーンは静かで的確で整然としている。狙いを定め引き金を引いたその一瞬で敵兵はおろか女性や子供の命まで消えていく様は、胃液が逆流してしまうほど精神的に滅入ってしまう。パンッ!という一音でで生きてきた数年が消失してしまうのだ。その親や子供や親友や恋人の気持ちを慮るとなんとも残酷な最後であろう。しかし彼らの行為はアメリカ人だけの問題だけでなく、イラク派兵を支持した我々も当事者なのである。そこで何かしらの痛痒を被ったところで目を背けることが出来ないのが本当であろう。正視するにも精神的な強さかあるいは何の痛痒も感じない鈍さのどちらかを必要とするでしょう。

戦争映画ではあるが主人公はスナイパーになる前は一般市民(カウボーイ)である。その普通の人間だったクリスがシールになって前線に赴き、内面が変貌していく過程、これが本作のテーマであろう(クリスが知らず知らず変わっていく様はクリント・イーストウッドとブラッドリー・クーパーの努力の賜物でしょう)。美しい妻(シエナ・ミラー凄く美人!)と子供という家庭がありながら、祖国を守るためという愛国心の為に何度も前線へと赴く。しかし本当は家庭を省みないのではなく、省みることが出来なくなっていったのだ。それは戦争という病魔、おそらくPTSD のようなものなのだろうが、彼は本土に帰っても敵を探すような素振りをし子供とじゃれる犬を殴り殺そうとまでする。それはそうだろう、武器を持った兵士だけでなく、味方に危害を加えようとする女・子供まで撃つ心の負担は想像するだけでは追いつかないほどなのであろう。あるシーンにクリスが撃った敵兵の武器を子供が拾って撃とうとするというのがあるのだけど、ここでクリスはその少年に照準を合わせトリガーに指をかけたまま、武器を捨てろ、頼むから捨ててくれと言葉が零れる。クリスもまた責任と道徳のジレンマに陥り葛藤しており、その様子がこれ以上ないくらいピッタリと饒舌に描かれている。今でもこの映像はくっきりと輪郭をもって海馬に保存されている。お見事。

その立ち振舞いを通じてイーストウッドは「戦争とは現場で起きているだけではない」という意思表示をしているかのように僕には映る。結末も字幕だけの文字の羅列という(どうなるのかは本作を観てください)呆気ない故に激しく動揺してしまう。しかしこんな酷く淡白な幕引きを選んだのも、かえって悲惨さが強調されるのだから参ってしまった。凄まじいラスト。イーストウッドの名声を引き上げたのは想像にするに容易い。



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.24 2016 【映画:ヒューマンドラマ】 comment2 trackback0

comment

nanaco☆
チルネコさん、こんばんは!

この映画、気になっていました。
ブラッドリー・クーパーが、どうしても『特攻野郎Aチーム』のイメージが抜けなくて、こういうシリアスな役柄(ですよね…?)とのギャップがありますね(笑)
チルネコさんのレビューを拝見して、ますます面白そう!と思ったので、是非観てみたいと思います*^^*

スナイパーといえば、チルネコさん『スターリングラード』はご覧になったことはあるでしょうか?
もう観たのは10年以上も前になるのですが、あの映画が大好きで今でもワンシーンを容易に思い出すことができます^^
同じスナイパー系列で『ザ・シューター/極大射程』も好きな映画です。
狙撃系の映画は、あの緊張感がたまりません。。。
2016.01.30 18:45
チルネコ
>nanaco☆さん

コンバンワ。コメントありがとうございます^^

僕もCMで子供を狙って葛藤してるシーンを観てどうなったのか気になっておりました。仰る通りシリアスな役柄でしたが、とても様になっていましたよ。逆に『特攻野郎Aチーム』というのを観ていないので、コメディっぽい(?)役柄の想像がつかなかったりします(笑)お時間があればぜひ観て感想をお聞かせください^^


『スターリングラード』は5年くらい前に観ちゃいました(笑)あれも名作といっていい映画でしたよねー。『卵をめぐる祖父の戦争』(←『二流小説家』の作者作)という小説を読んだ際、思い出したほど印象に残っております。『ザ・シューター/極大射程』は観てないので、探してみますね。またお勧めがあったら教えてくださいませ^^
2016.01.30 20:27

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