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『善き人のためのソナタ』 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク

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監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演:ウルリッヒ・ミューエ、セバスチャン・コッホ、
マルティナ・ゲデック、ウルリッヒ・トゥクール


お仲間さんからオススメいただいたドイツ映画ですが、とても良かったです。お腹の底からじんわりと苦しさが込み上げてきて、見終わった後にはやんわりと至福に変化していくようなそんな感覚をくれるヒューマンドラマでした。

ベルリンの壁がまだ存在した頃の東ドイツが舞台で、国家保安省シュタージ(東ドの秘密警察)所属の大尉がとある人物の監視を命じられるのだけれど、その対象者が劇作家で彼を盗聴してゆく。決して交わることのない対極の立場にある人生に影響を与えあっていくのですが、この大尉の存在を劇作家が知らない、というのが切なさの隠し味となっているんですね。日本が誇る(?)「味の素」もこれには叶わないでしょう。対象者を刑務所送りにする冷酷なシュタージ(大尉)が、彼の見知らぬ所でただの他人である彼を(または彼女を)庇うのです。本来備わっているべき人間味を獲得していく(上司を騙してまで!)過程の描かれ方が、縺れた糸を丁寧にほどいてゆく見事な監督の成果だと思ってます。

しかし大尉の行動の代償は大きく、左遷されてしまいます。序盤に自分の下にいた地位の者と同じ職場での単純な機会作業。ここで彼の孤独は一層深まりますが、劇作家のほうもこの時点で孤独感が漂っている。この時点で映画のテーマは「孤独」なのだなと思い至ります。

大尉が劇作家に情が移ったシーンも劇作家がピアノを弾くシーンであり、あの時の涙は感動したのと同時に思わずハグしてあげたくなるような孤独を感じるカットでもあったのですよね。そしてラストで監督が芸術的なセンスで魅せる「孤独」の行方。気持ち良くダスタシュートに「孤独」を放り投げてくれるのです。

そして互いの孤独が融解します。劇作家が自分の報告書に赤のインクを見付けた時には、きめの細かい肌(ウソデス)が鳥肌へと変化してしまいました。加えてタイトルにある『善き人のためのソナタ』(原題は違うようです)を見つけて、無表情なの喜び抱えてレジに持っていく姿で、彼も私たちも救われ良質な身震いをしてしまいます。このゾクッとする感覚は良質のフィクションを観ているときに起きる豪華なプレゼントのようなものでたまりません。

この一作だけで監督を賛美しすぎるのはどうかと思いますが、彼のセンスを好ましいなと思ったものをもう一つ挙げて締め括りたいと思います。誰かの引用かなにかは定かではないですが、構わず美しいと思える詩です。

「9月のブルームーンの夜。スモモの木陰で、青ざめた恋人を抱きしめる、

 彼女は美しい夢だ。真夏の青空、雲が浮かんでる。

 天の高みにある白い雲、見上げるともうそこにはなかった。」



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.13 2016 【映画:ミュージック】 comment3 trackback0

comment

nanaco☆
チルネコさん、こんばんは!

おぉ~さっそくご覧になったのですね、早い\(^▽^)/
私はこの作品、観たい観たいと思いつつ結局未見の作品なのですが、
チルネコさんの感想を拝見して、ますます気になっています(笑)
ドイツ映画は、やはりベルリンの壁崩壊前の映画が多いですけど、
抑圧された感情と緊張感があって、これがまた良い作品になる要素なのかなと思います^^

そうそう、ハンガリー狂詩曲購入されたとか!
第二番が好きなのですが、これ映像で観ると神業かと思っちゃいます(=v=)
指の動きとか、どうなってんのーーって(笑)
他のクラシックもそうですが、色々なピアニストと聞き比べてみるのも楽しいですよね♪
2016.02.14 23:03
チルネコ
>nanaco☆さん、こんばんわです^^

興味が湧いたのでお先に見せてもらいました。なかなか酷い仕打ちのシーンがあったりもしますが、結末まで観ると救われた気分になるような作品でした。ベルリンの壁や政治色が強かったりもしましたが、確かにそれによって緊張感ご出てた気もします。機会があればnanaco☆さんも是非^^

カンパネッラというピアニストのハンガリー狂詩曲ですが聞き応えごあります。映像どはまだ観たことないのですが、ハンガリー狂詩曲もラフマニノフのアルゲリッチなんかを聴いていると、想像するに容易いです(笑)リストの超絶技巧曲集などもヤバいっ!(;゜∇゜)また良さげなピアニストを思い出したりしたらオススメ下さると嬉しいです。
2016.02.15 19:10
チルネコ
>内緒さま

ご訪問&コメントありがとうございます^^
なかなか作品の良さを言葉で伝えるのが難しいですが、そういって頂けると嬉しいです。

ドイツ映画は同じく余り接してきてないのて、僕はリリーマルレーンを観ておりません(苦笑)本作はとても良質な映画だと思うので是非ご鑑賞下さい。

こちらこそコメント感謝です^^ポチも励みになります。
宜しければ今後ともどうぞよろしくお願い致します。
2016.02.15 19:19

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