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アルベール・カミュ 『異邦人』

異邦人


母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。判決は死刑であったが、自分は幸福であると確信し、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びをあげて迎えてくれることだけを望む。通常の論理的な一貫性が失われている男・ムルソーを主人公に、理性や人間性の不合理を追求したカミュの代表作。 (BY BOOKデータベース 新潮文庫 刊)


恥ずかしながらカミュは初読であります^^。というか、古典名作と呼ばれるモノで読んでない本はまだまだたくさんあります。中でもフランス文学は全然手をつけてません。けれどヴェルヌ&『シラノ・ド・ベルジュラック』を読んでから、むくむくと仏への意欲が増大して読みたくなってしまってます。う~ん、やっぱり読書にも国境はないんだ!と思う今日この頃です。

物語の舞台はフランスではなくアフリカの暑~いアルジェリアで、主人公はムルソーという一人の男である。そのムルソーがある日前々からゴタゴタのあったアラブ人の男をピストルで撃ち殺してしまう。それが第一部で、第二部が裁判編となっている。だがこのムルソーの殺人の動機が「太陽がまぶしかったから」みたいなわけのわからない理由からで、とうてい理解しえない。確かにこのムルソーは太陽の陽射しがお好きだったようだが、それでも理由にはならない。太陽がそうさせたのか?なんでだ?と疑問が疑問を生むだけで、ラストまでいってもそれは変わらなかった。だけど、解釈はこの作品を読んだ人数分だけ解釈存在するのだ。僕の解釈は「流された」だ。今で言うと「ノリ」のようなもので、このアラブ人と偶然にも対峙してしまった時点から、それはもう決まっていたハズだ。アラブ人がナイフを取り出したとき、ムルソーの武器はピストルしかなく、逃れられない場の雰囲気が作り出されていた。ムルソーは後にも無感情気味であり、計画的ではないとも言っている。もちろん、読者側から見るとそれは明らかだが、作中の裁判官や陪審員にはそんなことはわからない。母親が死んでも涙一つ流さないし、翌日には海水浴でエンジョイしてる。だが、これがムルソーという人物であり、涙が流れないのではなく流せないのだ。悲しみを感じれない、無感情な人物であり、無関心の塊なのだ。だが社会が必要としてるのは殺人に対する謝罪や罪悪感であり、社会共通の道徳観である。ムルソーの無関心という一貫した論理感の欠如は他人の目には憎悪の的でしかなく、もちろん死刑。だがムルソーの社会的論理感は否定しえても、個人としては否定できない。なぜなら、ムルソーのそれは嘘でも偽りでもなんでもなく、正直にありのままの感情だからだ。無関心という感情がムルソーの一貫性を持った論理感であるからして、ムルソーからすれば幸福なのだ。自分にとっての正直が社会にとっては倫理観の欠如となってしまう、不合理を追求した傑作というのも納得なのである。哲学的な面ばかりピックアップしてしまったけど、楽しめる場面もあって、ムルソーのこの無関心は時に笑いを誘ってくれる。「この人の話は長いから実は全然聞こえてない」とか「~~~と言い返したいが、面倒くさいのでやめておいたとか」、ムルソーの正直な無関心さが笑えたりもした(笑)


「私がより孤独でないことを感じるために、この私に残された望みといっては、

 私の処刑の日に大勢の見物人が集まり、憎悪の叫びをあげて、私を迎えることだけだった」

ムルソーは不条理を飛び越えてしまうのだ。



4.3 なむなむ!

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.15 2010 【本:言語芸術】 comment2 trackback0

comment

自分も猛暑の夏に読みました。
学生時代から何度読んでも共感できないんですよ~。

>解釈はこの作品を読んだ人数分だけ解釈存在するのだ。
だけどこの一文になるほどなと。まさにその通りです。
鋭い見解だと思います。さすがですね☆
2010.11.15 21:08
チルネコ

>惺さん

夏に読まれましたか^^照りつける太陽も主人公の心情も
ギラギラして暑い感じがしますよね。

どんな本でも一緒かもしれませんが、本書に限っては解釈が多岐に
わたらざる終えないような内容ですもんね!ありがとうございます~^^
2010.11.15 23:29

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