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三津田信三 『作者不詳 ~ミステリ作家の読む本~』

作者不詳


奇妙な古書店で手に入れた曰くつきのミステリ同人誌には怪異が宿っていた。見世物小屋から消えた赤ん坊/残酷で屈折した高校生らが鏖殺(おうさつ)された事件の恐るべき記録ノート/無惨に切断された首が招く無人島の殺戮。本格に徹した幾多の謎に現実は絡めとられ、身の毛のよだつ終幕が襲う。気宇壮大なミステリ曼陀羅!    BY 背表紙紹介文 (講談社ノベルス)


三津田さんのファーストコンタクトです。しかーし、本書はどうやらシリーズものの第二作目らしく、一作目飛ばしちゃいました^^;でもまぁあまりリンクとかもないみたいだし、それ以上に飛ばして読んでしまった自責の念すらなくなってしまうほど愉しめちゃいました^^内容もさることながら小口に〔UNKNOWN〕という文字が浮かんでいたり本自身も内容と絡んだ凝り具合で本棚に置いておきたい一冊となりました。

本書はとても面白い構造をしている小説で、「迷宮草子」という同人誌をひょんな事から手に入れた編集者<三津田信三>とその友人<飛鳥信一郎>が第一話「霧の館」を読んでしまいます。それはなんとも後味の悪い〔謎の提示〕で締めくくられている物語だったんですが、後日その小説と同じような怪奇現象が三津田の前で起こってしまうのです。〔謎の提示〕で終わった物語だったので、二人はその「霧の館」で示された謎を解いてみるとその怪奇現象は飛散してしまい、全七話ある物語を解かねばならない羽目に陥り戦々恐々謎と対峙してゆくという展開。なのですが、どうも説明しにくいですね^^;端的に言うと(最初から言え^^。)、第一話~第七話までの作中作がありそれらは全部謎で終わっているリドル・ストーリー。その各一話の後に<三津田信三>と<飛鳥信一郎>が作中作の〔謎〕を解いてゆくというメタミスでもあるんです。作中作のタイトルは以下↓

第一話 「霧の館」         依武 相
第二話 「子喰鬼縁起」      丁江 州夕
第三話 「娯楽としての殺人」  泥 重井
第四話 「陰画の中の毒殺者」 廻数回 一藍
第五話 「朱雀の化物」      筆者不詳
第六話 「時計塔の謎」      舌渡 生
第七話 「首の館」         裕
編集後記

この七作は作者も全員違うし、内容もなんの繋がりもなくすべて怪奇調という以外は一見するとただのアンソロジーのようにも見えますがなんのその。これが読んでゆく毎に本書の奇怪な存在理由が明らかになってゆき、ラストに到ってはなかなか驚いてしまいます。しかも驚きはそれだけではありませぬ。作中作で謎を提示し三津田と飛鳥が理論だてて解いてゆくんですが、これがまた本格テイスト漂う謎と推理を披露する本格推理なのですね。本格を意識したかのように名だたる推理作家の巨匠達の作品などを出してくるところも愉しくてチェックしまくりでしたし(笑)、ノワールチックな作中作では名だたる殺人鬼の名前が出てきたり(テッド・バンディとかエド・ゲインとか)作中作の特色に沿った内容がバラエティにとんでて耽読しちゃいましたし^^。謎もまた魅力的で〔テン・リトル・インディアン型〕や〔ノワール〕や〔毒殺〕、〔民俗学〕や〔密室〕や〔暗号〕などなど各章あの手この手で趣向を凝らしつつの謎と、それを解決するときの伏線をしっかり回収し読者に文句を言わせない解決はまさしく本格(飛鳥の炯眼が見物です)。ただ惜しむらくは個々の謎解決時の流れのまんねり感と、すべての作中作を統括するラストの謎解きカタルシスが余り得られなかったとこ。そして作者が出そうとしていたほどの怪奇趣味もイマイチ出し切れてなかったところくらいでしょうけど、個々を短編として出してもなかなかいい線ゆきそうなものばかりだし、ミステリ好きには堪らない推理ものだと思います。あと読み所としては<本格とは何か?><テン・リトル・インディアン型の定義><犯人動機の考察><犯罪小説系、本格ミステリ系、ホラー系推理ものの三者三様の良し悪し>などのキャラを通しての作者の考察も、共感したり学ばせていただいたりと読者冥利に尽きる。もしかしたら読者を選ぶ類の本かも知れませんし怪奇も少し弱いけど怪奇と幻想と本格推理の三色がいい塩梅で混じりあい酩酊感すら覚えちゃう、今年読破した中でもここまで耽読したのは珍しいほどのお気に入り作品となってしまいました。


『十角館の殺人』がどんでん返しで印象に残る作品ならば、大きなどんでん返しはないが小説の構造と趣向が焼きついて離れない小説全体をひっくるめて印象に残るタイプの作品でした。なんの知識もなく期待も大きくはなかったので、なんという僥倖だったことでしょう^^絶版でなければ新書買いますし、古本で見つけたら即買いします。なーる。



4.4 なむなむ!

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.16 2010 【本:言語芸術】 comment2 trackback1

comment

風竜胆
これは、単行本の方ですか?
やはり、あのぞくっとくるような美女のイラストがないと、ちょっと寂しいですね(笑)
2011.06.10 08:46
チルネコ
>風竜胆さん

これはノベルス版で読みました。本当は手元に置いておきたいんですが、ノベルス版はミステリランクにもひっかからないような世間の評価だったようで、古本でもあまり見つけられずまだ持ってません(苦笑)本の小口にある細工が好きなんですよね^^
イラストはなかったので、文庫の方もちらっと拝見したいです。
2011.06.10 21:42

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