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アラン・ベネット 『やんごとなき読者』

やんごとなき読者


英国女王エリザベス二世、読書にハマる。おかげで公務はうわの空、側近たちは大あわて。「本は想像力の起爆装置です」イギリスで30万部のベストセラー小説。   BY BOOKデータベース (白水社 2009.03.20刊)


以前お仲間さんのところで紹介されていて手に取ったのがこの『やんごとなき読者』です。アラン・ベネットさんは初読ですが、英国の風刺やら英文学がてんこ盛りで英国好きには堪らない一冊でした。160ページほどしかないのですぐ読み終わってしまいますが、その短さすら惜しいとさえ思ってしまうほど^^。

主人公は英国王室の女王で公務に生きがいを感じそれをこなす日々が最良の喜びだった。しかし、ある日宮殿の厨房入り口に横付けされた移動図書館にふと入り、お義理で一冊借りたところ読書の面白さに目覚めてしまうんです。公務も疎かになり身だしなみも雑になってゆく女王を、側近たちはいい変化だと思うハズがあるわきけもなくあれやこれやで読書をやめさせようとする者さえ現れるのですが、さぁ女王は読書と公務とどう折り合ってゆくのでしょうか?はたまたそこまで無我夢中で読書に没頭し、読書を通じて何かを成しえるのでしょうか?

まず女王が読書に目覚めた歳が80歳だという設定からして楽しいじゃないですか。僕も幼少から読書が常だという環境ではなく20代前半も終わり頃から本格的に親しんだクチなので、この女王と相通ずるものがあり他人事とは思えなかったです^^。まぁもちろん僕は凡なる平民なので女王とは立場も違い読書を阻止しようとしたりする人物も周りにおらず、読書中メモする姿を見て「アルツハイマーの兆候か?」訝しがられることもないですが(笑)そういう周りと女王の読書を通じての確執もユーモアを持って描かれていて楽しいし、読書の指南役の人物を介して広がってゆく女王の読書範囲も興味深い。同類としては周りを無視してもっとのめり込んでっ!と応援したくなります。とりわけ英国作家の名前が頻繁に挙げられるのでトロロープ程度までしか知らない僕にとっては正に「一冊の本は別の本へとつながり、次々に扉が開かれてゆくのに、読みたいだけ本を読むには時間が足りない」という作中文に共感せざる終えないかのように読書の幅を広げてもらったという感じ。メモたくさんしちゃった^^。抑制の効いたユーモアや読書欲を促す作家の羅列などは読んでいて読書好きとしての至福を感じる一時でもあり、読書がライフワークになっている現在がとても恵まれた時なのだと実感できましたね。

女王は始め読み解けない本もあるんですが、読書履歴に歴史がついてくると読み解けなかったヘンリー・ジェイムズを読み解いてしまいます。それを作品との和解というらしいです(笑)が、やっぱ読書筋なるものはあるようで、以前読み解けなかった本も後に読めたという経験はマジ共感です。読書筋トレをして読解力を養い、作中で頻繁に引き合いに出されてたジャン・ジュネを読み解けるよう僕も精進しますー。それにこの訳者さんもとてもいいと思います。文章もさることながらタイトルがまず素敵ではないですか。『やんごとなき読者』。いい響きだ。市川恵理という訳者さんの名前覚えておこう^^

ラストの女王らしい淡白な一言でバッサリと思ってた色の幕とは違う色の幕で物語を閉じるたところも、きっぱりしてて清清しい読後感。今年読んでて一番楽しかったと思える作品でした^^



4.1 なむなむ!

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.18 2010 【本:言語芸術】 comment2 trackback1

comment

キヨハラ
わかりやすく、読みやすい作品のご紹介、ありがとうございます。読んでみたい気持ちになりました。

「作品との和解」ん~~、なるほど。逆に昔は感動したのに読み返したらわかんなくなっちゃった作品との関係は?最近レビューをアップなさっていた異邦人が、そうだったんです。どうすれば、また和解できるのか考えています。横道にそれましたね。失礼。
2010.11.19 19:50
チルネコ
>キヨハラさん

そうおっしゃってくださると嬉しいです!ブログモチベーションが
UPします(笑)

そうそう、逆の場合もありますね~。やっぱ〔和解〕ときたら〔決別〕ではないでしょうか?
読書ってそのときの心情によってすごく印象に影響を及ぼしますもんね。
文学なんてのは特にその傾向が強くって、よく以前和解できなかったものができるように
なったってのがありますね~^^
2010.11.20 11:50

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『やんごとなき読者』 アラン ベネット 市川 恵里 訳(白水社)    なんと愛おしく、ウィットに富んで、奥深い魅力をたたえた作品だろうか。  まさに「大人のための寓話」、英国の情緒たっぷりの読...
2011.02.28 23:41 なまけ猫の気まま

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チルネコ

Author:チルネコ
読書をライフワークとしております。読むジャンルは本のジャンルは基本的に小説です。特に文学、ミステリ、SFを好み。何かお薦め本があればご指南ください。リンク・コメント・TBも大歓迎ですのでどうぞよしなに^^

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