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桜庭一樹 『少女には向かない職業』

少女には向かない職業


あたし、大西葵13歳は、人をふたり殺した……あたしはもうだめ。ぜんぜんだめ。少女の魂は殺人に向かない。誰か最初にそう教えてくれたらよかったのに。だけどあの夏はたまたま、あたしの近くにいたのは、あいつだけだったから――。これは、ふたりの少女の凄絶な《闘い》の記録。『赤朽葉家の伝説』の俊英が、過酷な運命に翻弄される少女の姿を鮮烈に描いて話題を呼んだ傑作。  (BY BOOKデータベース)


本書はわしが利用している田舎で小っさい図書館にはなかったので、リクエストをしやっとこさ入ってきてくれました^^(桜庭さんくらいは全部揃ってて欲しいと思うのは贅沢でしょうか?w)本書はイギリスの女流ミステリ作家、P・D・ジェイムズさんの『女には向かない職業』からタイトルを文字り拝借しているというのは有名だと思います。わしは少女~を読む前にぜひとも読んでおこう!と思い女には~を先に読んでいましたのでそれとの関連性もどうなってるのか楽しみでした。外堀を埋めてそれが実を結んだというような感じでしょうか(笑)

少女には~というタイトルのように、主人公は大西葵という中学生の少女でその葵が殺人を犯してしまうというものですが、これはまず本書の文頭に書かれていました。最初から殺人者は葵ということをバラしているおり、本書は倒叙というミステリーの体裁をとっていることになります。そういった意味で本書は多くのミステリのように誰が犯人なのか?という謎解きをするタイプのミステリではなく、サスペンス的な要素を強めに出し、犯人側の内面描写や犯人との対決をより楽しめるものとなっていました。言ってみれば東野さんのように内面に重きを置いたミステリー。

やはり本書も中学生で桜庭さんがよく描く少女時代という閉塞感を描いていて、もうこれはこの作家さんの専売特許のようなものだなと感じてしまいます。そして殺人を犯してしまうその少女ゆえの拙さが、儚く純粋であるのがいいんですよ。ラノベから転向したてだったからでしょうか、文章は後のモノと比べると少し軽め。でも、裏を取ると読みやすいとも言えますので私の男とかが読みづらくても本書はサクサク読めるでしょう。書き方は常に一人称。と思いきや、いきなり三人称的な書き方が出てきたりと違和感のある文章の流れもありました。でも、それを補うようないたいけな少女たちの心の葛藤などはさすがは桜庭さんだと思います。殺人の動機は一線を越えたら誰にでもできてしまうんだみたいな論理ですが、これは受け入れられない人もいるでしょう。桜庭さんはそこに深く言及しているというわけでもないので。しかし、中禅寺秋彦こと京極堂シリーズを読んでいる方はこの論理に納得できるのではないでしょうか?『狂骨の夢』を読んでみるとそれに関する蘊蓄・理論がまくし立てられているので、衝動的な殺人を納得したい方はぜひそちらも一読をば(なんの宣伝?ww)ラストに少女二人の立場が逆転してしまうというのもおもしろいものでしたし、本当のラストでああいった終わり方をしていましたが、わしの考えでは重くて黒いハッピーエンドだと思います。二つもあれを背負うには、まさしく少女には向かないでしょうから。でも、一番の見所はそのラストに行き着くまでの経緯が書かれたページかも知れません。少女たちの心理描写、その後の心の動きまでがとても読み応えのあるものだと思います。

そして元ネタのP・D・ジェイムズとの関連はそんなには見受けられなかったような気がします。ミステリであること。女性が主人公ということ。そういった大まかな類似点しか見受けられなかったですが、一番色濃くて重要な共通項は「どちらも闘う女性の記録」であるということ!!!これがお二人の中で手を取り合った、これに尽きると思います。物語の流れ的には類似点はなく、どちらかといえば真逆で対極だと思います。

やはり桜庭さんの描く世界は好きですね~。今回は昭和って感じのノスタルジックさでしたが、こういったスタイルはもう不動でしょう^^原始人の逸話もなかなか印象深いものでしたし、バトルアックスとかが武器というのはビックリしたけど、おもしろい目の付け所だとも思います。倒叙というスタイルはだいたいにおいて探偵VS犯人の心理戦という真っ向勝負なので、好きな体裁なのです。そういう心理的な意味でもツボをついてくれた良作です^^



3.6なむなむ!


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.30 2010 【本:言語芸術】 comment2 trackback0

comment

あろえ
とても魅力的な記事でした。
また遊びにきます。
ありがとうございます。
2010.12.23 17:10
チルネコ

>あろえさん

初めましてこんばんわ、コメントありがとうございます^^

記事にそのような言葉をかけていただけてとても嬉しいです!
感想書いていた甲斐がありました~w

またお時間のあるときにでも遊びにきてくださいませ^^
2010.12.23 21:48

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