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ジョン・F・バーディン 『悪魔に食われろ青尾蠅』

悪魔に食われろ青尾蠅



精神病院に入院して二年。ようやく退院が許されたハープシコード奏者のエレンは、夫の待つ家に帰り、演奏活動の再開を目指す。だが楽器の鍵の紛失に始まる奇怪な混乱が身辺で相次ぎ、彼女を徐々に不安に陥れていく。エレンを嘲笑うがごとく日々増大する違和感は、ある再会を契機に決定的なものとなる。早すぎた傑作としてシモンズらに激賞され、各種ベストに選出された幻の逸品。    (BY BOOKデータベース  創元推理文庫)

本が好き!』から献本でいただきましたー。あまり僕は知らない作家さんだったのですが、内容紹介を見ていると〔ハープシコード奏者〕やら〔楽器・演奏〕というワードが出ていたので、クラシックがマイブームな僕はそこに反応しちゃいました(笑)でも本書はそういう本ではなく、心理スリラーでした^^


本書が書かれたのは1946年のようで、米作家であるにも関わらず母国では本書の出版に首を縦に振る出版社がなく、はじめに英国で出版されたもよう。なぜ母国での出版が困難だったのか?というと、読了すればそれだけ内容が斬新だったんだなぁと納得できるものがあった。言うなれば〔早く出すぎた才能〕だったんでしょう。しかし、一番驚くというか嬉しいのが「初出版が英国だった」というところ!さすが格式高く歴史ある英国というか、ちゃんとツボを押さえているな~と英国出版界の炯眼に賛辞を送りたいくらいだ(笑)

内容はというとハープシコード奏者の主人公・エレンの視点でエレンの出来事の語りへ終始されるのだが、この物語の筋がないといったら言いすぎかも知れないが、それを明かすことができないのが残念である。こればっかりは核心に触れてしまうので自分で読んでもらうしかない(苦笑)少しだけ明かすと【ニューロティック・スリラー】に入るということ、もしかしたらフロイト辺りを好んで読む人に向いてる本なのかも知れないということくらい。

語られる時系列もいったりきたりするし、物語よりもエレンの心理描写で文章が占められているので読んでいてもなかなか内容を把握することが困難だった。というか、正直に言うと2章辺りからずっとわけがわからなくて読みづらかった。それは作者の意図する怒涛の心理描写の連続がそうさせたのは間違いないだろう。エレンの言わんとすることも、何者なのかもわからなくなってくるのであるが、実はラストに近づくにつれてそれらのイマイチ把握できなかった事象たちがやんわりと少しずつ浮かび上がってくるのだから、物語よりも作者の技巧・精緻さに驚愕してしまった。ちゃんと作者はプロットからガジェットの小出しまで気を配って配慮していたことに気付くことになる。また、エレンの二面性や辻褄が合わないような描写、中盤で面白さを感じれなかった内容も一気に評価せざる終えなくなってくる不思議な作品なのである。

あと嬉しかったのは主人公がハープシコード奏者ということで、音楽の記述、とりわけクラシックの曲などが登場していたことだろうか。『ゴルトベルク変奏曲』を愛でてたエレンですが、ゴルトベルク変奏曲とエレンが不協和音となってラストの数行で響いてくるかのよう。もしかしたら中盤で挫折しそうになってしまう人もいるかも知れないが、しっかりと中盤を読んでいれば必ずラストで報われる結末が待ってくれているのだ。もちろん報われるのは読者だけだが(怖)旋律と戦慄が入り混じるラストを堪能されたし。


3.8 なむなむ!



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.20 2011 【本:言語芸術】 comment4 trackback0

ルイス・シャイナー 『グリンプス』

グリンプス


ステレオ修理屋のレイは、父親を事故で亡くしたのち、自らの不思議な能力に気が付いた。60年代のロック・ミュージックに思いを巡らす。すると当時未完成に終わったはずのあの名曲が、スピーカーから流れ出た!ドアーズ、ビーチ・ボーイズ、ジミ・ヘンドリックスの未発表音源を求めて過去へのトリップが始まる。ロック史が一変する無類のSFファンタジイ!世界幻想文学大賞受賞。  (BY 背表紙紹介文創元SF文庫)


初めベックさんのブログで拝見して「装丁からしてサイケな匂いがカックイ~」などと思ったのですが、中身も60年代ROCKを扱ってるという大好物!どちらかというとパンク系が好きなんですが、ジミヘン辺りはど真ん中です。あの歯で弾いたりファイヤ~したりの超絶ギターテクはやはり天才ギターリストとして崇拝してしまいます。だってあんなにギタープレイだけで魂が迸るヤツがいるでしょうか!そのジミヘンやブライアン・ウィルスンなどが登場し幻の音源まで絡めてくるとなるというからワクワクせずにはいられませんでした^^

音楽を扱った音キチ小説というと『ハイ・フィディリティ』や『A&R』くらいしかパッと思い浮かばないけど、本書は先に挙げた二作のリアリティを持った現実として描かれているものとは異なり、SFや想を取り入れたタイムトリップもの。しかし、作者がミュージシャン上がりの作家ということもあって、リアリティもあり奥行きもある。そもそもSFとカテゴライズしなくても問題ないでしょう。だって本書はSFという体裁を帯びた父と子の相克であり、60年代ROCKのエッセンスがウリなのですから。

実名のロックミュージシャンを出すことで陳腐なものになってしまいそうですがなんのその。〔もしもあの時~だったなら〕という誰もが何かにつけて思ったことのある感情を現代と過去の橋渡しとして上手く仕上げている。今の僕と同い年で亡くなってしまったジミヘンの不慮のオーヴァードーズは悔やまれてならないとか思うけど、主人公も同じ感情を持ち過去へ忠告しにゆけるのだ。そういう描写の一つ一つが作者の体験と抒情をふんだんに詰め込んでいる作品にシンクロしてしまうROCK好きにはエモーショナルな小説になっちゃうでしょう^^ビートルズやドアーズやビーチボーイズなどが取り上げられるけど、ジミヘンのくだりなんかはもう圧巻の出来栄え。

僕は60年代はもちろん未体験だけど、あの〔音楽で世界は変えられる。ピース。〕みたいな感覚はなぜか感じることができるのだ。それが未体験であってもあの頃の音や匂いやノイズやライヴ映像を観ると納得してしまう。いつもそれが不思議でならない。だから不思議な小説である本書ですら許容し納得させられるものがあった。

作者はミュージシャン上がりらしく他にも短編で「ジェフ・ベック」とかいうストレートすぎるタイトルのものまでもあるらしい(笑)あぁ~こんなにドンピシャな作家さんがいるとわ^^紹介してくださって感謝感謝です!(ちなみに本日のなむなむ!指数はいつにもまして独断と偏見と偏愛指数となっとりますのでご注意をば^^笑)



4.8 なむなむ!



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.17 2011 【本:言語芸術】 comment1 trackback0

若竹七海 『火天風神』

火天風神


最大瞬間風速70メートル超。観測史上最大級の大型台風が三浦半島を直撃した。電話も電気も不通、陸路も遮断され、孤立したリゾートマンション。猛る風と迸る雨は、十数人の滞在客たちを恐怖と絶望のどん底に突き落としてゆく。そして、空室からは死体が見つかって…。殺人なのか?そして犯人はこの中に!?謎とサスペンスに満ちた傑作パニック小説。  (BY BOOKデータベース <新潮ミステリー倶楽部>)


久々に七海~祭りを再開しようかなと思いまして、積読を消化させていただきました。本書で七海7冊目くらいですが、作品のクオリティ云々は抜きにしても、本格、コージー風、ホラー、そして本書のパニックサスペンスなど作風の幅の広さには敬服いたします^^。でもやっぱり葉崎シリーズが一番好きかな。

三浦半島にあるリゾートマンション(通称・成金マンションw)で休暇を過ごそうとたまたま集まったそれぞれの部屋の持主。しかしそこでは史上稀に見る大型台風が接近し彼らは不幸にも遭遇してしまう。その自然災害と共にもう一つの恐怖が待ち受けた。というような内容なんですが、878hPa(くらいだっけ?)というとんでもない勢力の台風と共に人為的悪意も加わりあらぬ方向に転がってゆくストーリー展開がなかなか手に汗握るパニックとサスペンスぶりでした。ミステリ的な展開もあるのですが、七海~作品としてみるとそこまで際立ってなくて、スパイスのような存在で、僕的にはちょっとしたいいアクセントと感じれました。が、あくまでも本書はサスペンスであり、七海のミステリ作品と比べると、佳作といった作品に落ち着くのではあにでしょうか^^。

人物造詣もさすが七海~。まったく関係ない人物同士が一つの場所に集まって、多視点で語られてゆくんだけど、物語と登場人物の思惑や抱えるものが上手く交差し、物語全体として浮き足立ってる人物が一人もいないからあっぱれであります。人物造詣も上手いしその使い方もまた上手いですね、七海~(笑)でもやっぱり七海は七海ーで、アクというか毒の強い人物というか、虫唾が走るような腐った野郎が登場してて胸をムカムカさせてもくれます(苦笑)健次がボッコ~ンとやったときは気分爽快で愉快にすらなれましたし(笑)死体やら暴力的な描写も出てきて気分も悪くはなるんですが、この事件で大きく成長する人物がいたり、エピローグで救いがあったりもするので、読後感も気分がいいとまではいかないまでも悪くない心持で本を閉じることができると思います。


七海~の中でお薦め作品とはいかないですが、悪くないデザスター物ではありました^^


3.6 なむなむ!


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.14 2011 【本:言語芸術】 comment2 trackback0

若竹七海 『ぼくのミステリな日常』

ぼくのミステリな日常


月刊社内報の編集長に抜擢され、若竹七海の不完全燃焼ぎみなOL生活はどこへやら。慣れぬカメラ片手に創刊準備も怠りなく。そこへ「小説を載せろ」とのお達し。プロを頼む予算とてなく社内調達ままならず、大学時代の先輩に泣きついたところ、匿名作家を紹介される。かくして掲載された十二の物語が謎を呼ぶ、贅を凝らしたデビュー作。   (BY BOOKデータベース)


べるさんレトロさんにのお二方にオススメしていただいた『ぼくのミステリな日常』。俄然期待値が上がって読み始めましたが、それを裏切らぬ素晴らく良質なミステリーでした。若竹七海というOLが社内報を潤わせるために、匿名作家に連作小説を書いてもえるように頼む。そこで、匿名作家の正体は読者はもちろん、若竹七海にも教えないという条件で連載が始まり、僕ら読者もその連作ミステリを一緒に楽しむという趣向の作品。イマイチメタの本質を理解できてないけれど、作中作がある本書も一種のメタであるのかなーと思うがどうでしょう。





ちょっとネタバレ




こういう書き方がされているので匿名作家が書く短編一作一作を楽しんで読んでしまうだろうし、
もちろん一作一作の短編としてのクオリティも高く楽しませてくれる。が、本書が素晴らしいと
言われるわけはそれだけでは決して語りきれない。なぜなら各短編は単体でも楽しめると共に、
ラストのどんでん返しに繋がる伏線でもあるからだ。ホラーなどの多種にわたる要素も含んだりする
各短編だけを読んで満足して次の短編へ。ラストのトリックを知らなければそういう読み方をしてしまう
だろうが、その読み方だったからラストの匿名作家に七海が逢いに行くくだりの大どんでん返しには
強烈な騙され方をしてしまった^^。他人には見られたくないようが、ポカンと口をあんぐりあけて
いたと思う(苦笑)ラストに至るまではその叙述っぷりに一ミリたりとも気付かなかったのだ(未熟)
でも、これぞミステリの醍醐味だといわんばかりの大どんでん返しには、満足満腹おかわりしたい!
それに作中に若竹七海が短編の作中作に<マリン>という名で出ていたりと、その構造にも騙されつつ
感嘆してしまい、二重三重な重層構造メタフィクションアナグラム(?)だった。





ネタバレ終了





あとがきを先に読まなければ必ず驚愕し、二回目を読み返してその構造を確認しミステリっぷりに
納得させられる、これが新人時代に書かれた作品!?と思わずにはいられない贅沢で巧で匠な名作ミス。



3.8 なむなむ!



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.14 2011 【本:言語芸術】 comment2 trackback1

若竹七海 『猫島ハウスの騒動』

猫島ハウスの騒動


葉崎半島の先、三十人ほどの人間と百匹を超える猫が暮らす通称・猫島。民宿・猫島ハウスの娘・杉浦響子は夏休みを迎え、家業の手伝いに精を出す日々を送っている。そんなある日、ナンパに勤しむ響子の同級生・菅野虎鉄が見つけてしまったのはナイフの突き立った猫の死体、いや、はく製だった!?奇妙な「猫とナイフ」事件の三日後、マリンバイクで海の上を暴走中の男に人間が降ってきて衝突した、という不可解な通報が!降ったきた男は「猫とナイフ」事件にかかわりがあるようだが…。のどかな「猫の楽園」でいったい何が!?真夏の猫島を暴風雨と大騒動が直撃する!奇妙な事件に奇矯な人々、そして猫・猫・猫…ユーモアとシニカルを絶妙にブレンド。コージー・ミステリの名手、若竹七海の真骨頂。  (BY BOOKデータベース)


この作家さんはお初です。が、本書を選んだのはもちろん猫だらけの表紙に猫のタイトル遣い。そして、裏表紙の猫・猫・猫ブリに購入せずにはやり過せませんでした^^。積読期間は長かったですが(苦笑)やっとお目見えされました^^

葉崎半島という島の先にある離島通称「猫島」である日ナイフの刺さった猫の剥製が見つかる。そしてその三日後マリンバイクで海を爆走中に人間が天から降ってきて衝突した!立て続けに起こった事件はどうやら関係性があるようで平穏な日々を暮らしていた猫島の人々を大騒動へといざなってゆく。。。という事件の真相を追求するというミステリーですが、舞台がゆったりと暮らす島の人々でふんわり感漂うコージーミステリーとなってます。なので、本格のような緊張感などはないのです。かといってミステリーがおざなりになっているかというとそうではなく、緻密とはいわないまでも広範囲に広がってしまった感のある伏線の回収もキッチリと出来てましたし、ポリス猫DCのラストでの真相独白にはビックリさせられました^^キャラたちも僕が一番気に入った貧乏くじを引きまくるという七瀬巡査など、それぞれ個性も溢れていて笑える場面も多々ありましたよ。あまり歓迎できない話なども書かれていたのですが、なぜか若竹さんの文章にかかるとそんなに不愉快にならずに読めたのにはまたもやビックリでした。まだ若竹さん読書一作目ですがブラックユーモアを嫌味なく上手に文章に混ぜ込ませられる系の作家さんなのかなという印象を受けましたねー。でも一つだけ気がかりなのは、響子と虎鉄の修学旅行で何があったかという思わせぶりな逸話が最後まで語られなかったのがとても気になっちゃってます^^;何があったんだろうかと頭から離れてくれません(苦笑)

もちろん本書には猫がたくさん出てきて猫好きにはたまらん(嬉)そしてなんといっても若竹さんの遊び心が存分に発揮されているのが、この登場猫の名前の八割が他の小説や映画から拝借されているんですよ!それが分かれば「相当の猫バカ」という称号を得られるみたいですが、僕はトマシーナなどの超有名な猫の名しかわかりませんでしたぁ^^。もっと猫本読みつくさなきゃ。後もう一つ嬉しい発見はアメリカには<猫ミステリーライター連合>なる猫ミスライター集団なるものもあるらしく、また一つ猫の真髄を垣間見た気がします^^素敵な猫ミスがあればぜひとも御指示くださいませ^^



3.8 なむなむ!


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